誰が、最初に「鼻が高い」と言ったのか?

鼻を「飾る」形容詞の主なものを、昨日 list up しましたが、その中に当然入ってもいいはずの日本語の「高い鼻」「短い鼻」と英語の high と low を意図的に抜かして、今日に回しました。そのわけは、これらについては、ちょっと長い説明が要るからです。
先ずは、日本語でよく使われる「高い」ですが、google の結果は、
"鼻が高い" 415,000 ここから、「天狗」を除くと
"鼻が高い" -天狗 390,000+"高い鼻” 42,300=432,300
となります。これは、昨日紹介した
"鼻が低い" 3,280,000+"低い鼻” 78,500=3,358,500
に比べ、一桁少ない数字です。
しかも、その使われ方をざーと調べてみると、「試験に合格して鼻が高い」という、よく使われる比ゆ的表現も多く含まれます。
また、「鼻が高い」を英語で言うと、と解説するサイトが結構沢山あります。「鼻が低い」を英語で言うと解説するサイトは、あまり見かけません。
日本語の検索では、そういうサイトと「高い」が鼻の形状について使われているサイトを区別して検索することができません。どなたか、いい方法知っていたら教えてください。
そういうことを加味すると、鼻を形容するのに「高い」がつかわれている場合は、上記の数値より更に少なくなるといえます。
何よりも、「低い」には、圧倒されています。日本人の鼻についてコメントする時に、「低い」ということは、頻繁にあるけれど、「高い」を使うことは意外に少ないのではないか、と私は思ってしまいます。皆さんどうですか。
それは、鼻の低い日本人は多いけれど、鼻の高い日本人が少ない、ということではなく、そもそも、日本人の鼻について「高い」を使うことがなかった、というのが、私見です。
先にも述べたように、幕末・明治に「異人さん」の鼻を見て、「おお高い」と思ったのが、そもそも「鼻が高い」という表現が日本語に入ってきたきっかけでなかったか、と思われるのです。
そこで、鼻について興味を持っていそうな人が書いた著作を5つ、鼻について、どう書いているか、全文を調べてみました。
清少納言『枕草子』、兼好法師『徒然草』、夏目漱石『坊ちゃん』、樋口一葉『たけくらべ』、宮沢賢治『風の又三郎』です。
どうして調べたか、ですか。簡単です。これらは、全部著作権が切れていて、「青空文庫」に入っています。それを全文 html ファイルでdownload して、My Document の folder に一旦保存します。folder を開いて、各著作の file 名を右クリックすると、「プログラムから開く」という menu が出ますので、それをクリックすると、MS Word がありますので、今度はそれをクリックすれば、Word で、書く著作が開きます。後は、いつものように、「鼻」で、検索するだけです。ひとつの著作に10分もかかりません。便利になったものです。
結果は、書く著作とも、「鼻」が出てくるのは、10件少々、「鼻が高い」は、一件もありませんでした。

いつごろから、「鼻が高い」という言い方が日本語に入ってきたか、これはなかなかの難問です。青空文庫の著作を全部調べれば、何か分かるかもしれませんが、そこまでするほど、暇人ではありません。これは、国家的事業として国立国語研究所あたりで調べてもらうといいですね。
そこでですね、面白いことに気づいたのです。先日の Mr. Bean の仰向けに寝ている顔の画像がありましたね。人間の鼻は、普通に立っているときは、水平方向ですから、本来垂直方向の程度を表す「高い」は、使いにくいです。しかし、ああやって、仰向けに寝ている顔にそそり立つ鼻は、垂直方向に「高い」と感じられますよね。
幕末・明治に「異人さん」が日本に来た時、もっとも身近に、しかも、仰向けに寝た顔まで、観察できた日本人は、だれか、ということです。

渡辺京二『逝きし世の面影』(平凡社ライブラリ-2005)は、幕末・明治初期に日本を訪れたり、日本に滞在した欧米人の多くの日本見聞記を博覧し、そこから「今は逝きし日本の当時の面影」を描いている、得がたい著作です。巻末の参考文献をみても、ネットのない時代に著者がいかに多くの文献にあたっているか、感銘を受けます。
この本の第8章は「裸体と性」と題されています。この中で、日本では売春がおおらかにおこなわれ、江戸時代には、幕府によって庇護されていたことを欧米人に目には、奇異に写ったことが紹介されています。あからさまに、これら欧米人が、そういう場所で出入りしたとは紹介されていませんが、それをうかがわせる記述はいろいろあります。
「唐人お吉」の話しもありますしね。だから、とうじその筋の女性が、「異人さん」たちと交わったのは、事実でしょう。

その女性たちが、「異人さん」とコトが終わったあと、仰向けに寝ている「異人さん」の男性の横顔 profile を見た時、垂直に上をむいてそそり立っている nose を見たら、「わっ、高い」と思ったでしょう。
そして、それを人々に、「異人さんの鼻で高いよ」と言いふらしたので、それまで、遠めに正面から「異人さん」の顔を見ていて、垂直方向の高さには、気づいていなかった、一般の人も、そういわれれば、とそのような目で見てみると「やっぱり、異人さんの鼻は高いわ」と思って、それを口にする人が増えたので、「鼻が高い」という言い方が、日本語の中に入ってきたのではないか、というのが、私の、皆さんが、とんでもないと思うような解釈です。そして、それまで、正常と思っていた自分たちの鼻が、「異人さん」に比べると「低い」と感じ始めたわけです。
どんなもんですかね。案外当たっていませんか。こういうのも国立国語研究所で、研究してほしいですね。

日本の中学生に「鼻が高い」は、英語でどういうの、をこういう所から入る説明は、教育上よろしくない、と英語の先生は思うでしょうね。
もっと別の approach が必要ですね。たかが鼻に、苦労します。

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