ADL と Scorm. 何のことか分からないでしょう。

アメリカに、ADL という組織があります。Advanced Distributed Learning の acronym (略称)です。
これが、何であるか、ADL の website から紹介します。
In the Quadrennial Defense Review (QDR) of 1996, the Department of Defense (DoD) identified several factors that highlighted the need for DoD to provide on-demand training for individuals and units worldwide. In response to the Quadrennial Defense Review (QDR), DoD developed a Department-wide strategy to harness the power of learning and information technologies to standardize and modernize education and training in 1997. The strategy was called the Advanced Distributed Learning (ADL) Initiative.
赤字にした肝心なところだけ、解説します。
アメリカの Department of Defense (DoD) が始めたものです。昨日も書いたように、「国防」のため、アメリカは世界中に軍隊を派遣しています。かれらに、on-demand で、新しい武器や戦術の訓練する必要があります。そのために学習理論と IT (情報技術)を使って、教育と訓練を標準化、近代化する方策を 1997年に打ち立てたのが、ADL でした。

昨日も書いたように、短期間で、誰もが直ぐ、知識・技術を習得できるようにしようという strategy です。
world wide に散らばっている軍隊をいちいち一箇所に集めるのでなく、彼らのいるところへ、distribute (配達)する。それも、欲しいというものを on-demand で配達するというわけです。distributed learning というのは、学習の宅配のようなものです。それを、最新の情報技術で配達するので、advanced というわけです。
この軍事上の必要から始まった initiative (始めたこと)を、広く民間の learning strategy にも apply しようと、ADL が設立されました。
詳しく解説すれば、キリがないので、下記サイトを参照してください。
http://www.adlnet.gov/Pages/Default.aspx

この ADL と表裏一体をなす concept が、scorm と呼ばれる「規格」です。Wiki には、英語版しかありません。
それを引用します。

Sharable Content Object Reference Model (SCORM) is a collection of standards and specifications for web-based e-learning. It defines communications between client side content and a host system called the run-time environment, which is commonly supported by a learning management system. SCORM also defines how content may be packaged into a transferable ZIP file called "Package Interchange Format".
SCORM is a specification of the Advanced Distributed Learning (ADL) Initiative, which comes out of the Office of the United States Secretary of Defense.

http://en.wikipedia.org/wiki/Sharable_Content_Object_Reference_Model
これだけでは、何のことか分からないでしょう。おいおい分かるように、話を続けます。

私は、以前にも紹介したように、MTB (Multimedia ToolBook)を使って、各種の multimedia 学習材を作成しています。その中で、学習対象のページから、メニュー画面に戻るための [Return] ボタンが、各ページにあります。
scorm を知る前までは、この[Return] ボタンの場所を、意図的に変えていました。左下にしたり、右下にしたり、上の方につけてみたり。その方が、design 的には面白いし、いちいち前のときはどこにつけたか覚えていないせいもありました。
これは、scorm に反することでした。そういえば、プログラムの demo で、試用してもらうとき、 [Return]ボタンの位置がページごとに違うと、前の時と同じ場所へ無意識にマウスを持っていく人が多いことに気がつきました。
それに気がついたので、それから、全てのプログラムのすべてのページを見直し [Return] ボタンだけでなく、ひとつひとつ具体例は挙げれませんが、全ての操作が、同じ手順でできるように、大改良を加えました。scorm 的手法を取り入れたのです。
scorm には、アメリカの IT 関係の leading companies、Microsoft, Apple, Unitel など、殆どの企業が参加しています。そして、メーカーは違っても、使い方を共通にしようと申し合わせた規格が scorm というわけです。
昨日の私のブログに対して、メールで、Apple社の製品 (iPhone, iPod, iPad,Macなど)は「これが説明書?」と思うくらいぺらぺらの説明書なのにも関わらず、ちょっと使っていると、自然と使いこなせるようになってしまいます。
というコメントを寄せてくれた人がいます。
Apple社も Scorm に従って製品開発をしているので、Apple 社の製品間だけでなく、今までにパソコンなど IT 機器を使っているので、直感的に使えてしまえるのでしょう。
その点、日本のケータイ maker は、各社独自仕様にこだわっているように思えます。先般アメリカに行った時、アメリカでも電話が掛けられる「携帯電話」を人から借りていったのですが、自分のものと、全く勝手が違って、戸惑いました。
以前にも書いたとおもいますが、日本の maker の DVD/RD/HD recorder は、CM をカットしようとすると、A-B 間消去法で消すものと、正反対に、CM のないところを、選んで Play list を作成し、それを繋いで、CM のないものにするのと二通りあります。SONY, Panasonic, Sharp は、前者で、Toshiba, Mitsubushi などは、後者です。同じ maker でも機種が違うと、各種のボタンやスウィッチの位置が違っていることがよくありますん。要するに scorm 的でなく、usuability が悪いのです。新しい機械を買うと、また、学び直しです。前の機械を取り扱った生理的記憶が残っていますから、かえって戸惑います。前の機械の生理的記憶がそのまま生かされれば、learning curve は、すぐ急上昇するのに。
そういうことのないように、新しい機器や software を使うときでも、戸惑うことなく使えるように規格を定めておこうというのが、scorm です。そうすれば、user interface は、共通するものが多く、それまで経験で直感的に分かるからmanual に頼らなくても、learning curve も短時間で急上昇するわけです。

これを書きながら、こういうことは、やはり経験者でなければ分からないだろうな、もうこの辺で止めとくかな、と考え始めました。
MS-DOS 以前の CP/M の時代からパソコンを使い始め、Windows も、Windows 1.0 の runtime versionからから使い始めていました。
各種各様の software を、PC Magazine で紹介されると、直ぐにでも、前に書いたように、LA の Paul から、せっせと当初は fax で、その後は mail で注文しては、着くのを待ちかねて、install し、使ってきました。
PC も、今でもそうですが、何台か使って(今は4台)、そのうちの半分は、英語Windows で、英語の software だけを使っていると、software が代わっても、違う仕事をする software でも、Windows の環境上では、使い勝手が同じです。新しい software を使うときも manual など見ないでも、使えてしまうことが多いです。scorm のせいです。

日本のコンピュータお宅には、英語が出来る人が少ないです。日本の software を、意地悪なコンピュータお宅に教えてもらわなくても、アメリカの、はるかに進化した software を使えば、教えてもらうまでもなく、簡単に使いこなせたのです。そして、いざ分からないときは、先に紹介したように、ネット上で喜んで、惜しみなく教えてくれる人が待ち構えています。実際のとここ、Windows 95 以来は、そうやって訊くこともなくなりましたね。
私の考えでは、移民国家と言われるアメリカでは、見知らぬ人が集まって community を作っています。その community を顔を直接あわせる間柄だけでなく、computer network によって、virtual community に、何といいますか、拡大、拡張、単に広げる、でいいか、する時、IT が、難しくて使いこなせなくては、参加できない人が脱落します。それでは、American democracy の理念に反します。
だから、ADL や、それを可能にする scorm というものが、必然的に生まれてくるわけです。
今日の分を、終わらせなければならないので、ちょっと急いで乱暴に結論づけています。また、明日にでも、続きを。

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この記事へのコメント

gggunji
2011年04月14日 22:23
ADLもSCORMも両方とも初めて聞きました!
WindowsからMacに乗り換えたときに、多少の戸惑いはあったものの、すぐに違和感を感じなくなったというのはSCORMという規格のおかげなのですね!
反面、日本の携帯(通称ガラケー)は、機種変更するたびにとてもややこしかった経験があります。

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    Excerpt: 昨日は、「忘れさせない strategy は、RTPで留まるのでなく、更に続きがあります。どう続くか、見当は付くでしょうが」で終りました。  見当はついたでしょうか。  GHN series .. Weblog: 英語学習もろもろ racked: 2011-08-24 17:36