グローバル人材の要件

「グローバル人材」とは、自分の国を離れて、自分の国語が通じない国へ行っても、その国で「やっていける」人だ、と一応定義しました。
これには、いろいろな条件があります。
 第一に、必ずしも、その国の言葉が出来る必要はない。その国の人工的環境が、英語で利用でき、さらには、英語のできる人が沢山いれば、そこそこか、あるいは、条件次第で、自国と同じように適応できます。そして、大英帝国とパックスアメリカーナのお陰で、英語による人工環境利用が十分に出来る国が沢山あります。 
 そこで、アイロニックな話です。英語国の人たちは、英語による人口環境が整備されている国が多いので、そういう国で自国と同じように適応できるので、ことさら「グローバル人材」というほどのことはない、と昨日指摘しました。ところが、例えばアメリカ人が、日本に来た場合、日本の英語による人工的環境はまったくと言っていいほど、整備されていません。英語国民と対等に英語でやり取りできる日本人は、巷にあふれてはいません。地方に行ったら、日本語しか通じないところばかりです。道路標識も電車など公共交通機関の利用も、日本語ができないと、ままなりません。タクシーの運転手も英語ダメです。そうなると、本来「グローバル人」である、英語国民は、日本では、不適応を起こします。
 日本に来て活躍している他国の人は、いくつかの例を挙げるまでもなく、みんな日本人並の日本語を駆使して、単に日本語だけでなく、その道で日本人以上の力量の持ち主です。
 今度日本に帰化することになった、ドナルド・キーン氏は、日本人以上の日本文学専門家です。Begin Japanology という NHK の海外放送が、BS 1 でも放送されています。7月は、Japanophiles と題して4人の、日本文化専門家を紹介していました。墨絵画家、琵琶演奏家、日本茶専門家、陶芸作家で、それぞれその道で日本人の専門家に匹敵する人たちです。
 これは、どういうことか、というと、英語人工環境が整っていない日本で「グローバル人材」になるには、日本人以上に日本語、日本文化に習熟しなければならない、ということです。このことから、「グローバル人材」は、必ずしも英語の「出来る」人ではない、ということが分かるでしょう。、
次の条件は、ただ単に他の国でやって行けるというだけなく、自分の国にいる時と、同じ程度か、場合によっては、それ以上に、行く先々の人工的環境に適応して、自国にいる時と同じように仕事もし、日常生活を送れることが、条件です。
 日本人にとって、幸いなことは、それぞれの国の言葉に習熟しなくても、日本以外の国の多くは、英語の人工環境が整っているし、英語のできる人が多いので、英語さえ出来れば、かなりの程度まで、その国の人工的環境に適応できます。
 ということで、ここで話変わって、私の体験をお話します。
 私が、1971年9月ー1972年9月と一年間 UCSD に滞在していたことは、このブログで以前にも紹介しています。
 それから、5年経って、この度は、当時の西ドイツに半年滞在しました。このことは、別のブログで、「私の名詞 sports car driver の巻」で紹介しました。
 英語教育を専門とする私が、なぜ、英語国でなく、ドイツ語を国語とする、当時の西ドイツへ行ったか、です。
 国家公務員は、休暇を取って海外へ出かける場合、それ相当の理由と、かなり詳しい滞在日程を提出し、教授会の承認を得なければなりません。その点、英語教育は、都合がいいですよ。なぜなら、西ドイツにおける英語教育の研究とか、ヴェトナムにおける英語教育の研究とというテーマを出せば、世界中どの国でも英語教育をやってますから、どこでも行くことができます。ただし、しかるべき教育・研究機関から招待状を貰う必要があります。
 私が、西ドイツを選んだのは、ひとつには、UCSD 時代の office mate であった、Jurgen Meisel が Wuppertal にある大学の教授をしていたので、彼から招待状を貰いやすかったことですが、実はもうひとつの大きな理由がありました。
 それは、私の本当の目的は、西ドイツの英語教育ではなく、英語国でない国で、英語だけで、どこまで環境利用ができるか、試してみたかったわけです。研究テーマ的に書けば、「英語国でない国での、英語環境利用効率の研究」です。こんなテーマを教授会に出しても、理解されませんから、それは、秘めておいたわけです。
 1976年には、まだ EU は発足していませんでしたが、西側諸国間では、国境はあっても、通関する手間はなく、高速道路でそのまま、自由に出入りできました。一旦止まれれるところもありましたが、パスポートに記載されることはありませんでした。そうういことが、分かっていたので、西ドイツにしたのです。国家公務員が海外に出るときは、何月何日、どこどこ到着、何月何日どこどこ出発、ときちんと日時を書いた予定表を、出発前に提出しておかなければならないのです。帰って来て、パスポートに予定にない国へ行ったことが分かってしまう判が押してあったり、記入があると、予定外の行動をしたということで、これはどういうことですか、と問題になります。しかし、パスポートに記載がなければ、どこへ行っていようと、わかりません。
 かくして、西ドイツ滞在中に、Jurgen から譲り受けた、Renault 5TR を駆使して、Paris, Amsterdam, Milano, Wien、Bern, Mon tBlanc などなど、ヨーロッパ中を駆け巡りました。地中海まで行きましたね。しかし、証拠は何もないので、帰国しての報告は予定通り、Wuppertal の大学で英語教育の研究をしていた、ということでした。 
 実は、本当に英語教育の研究をしていたわけです。英語圏でない、ヨーロッパ諸国の人工的環境で、英語の環境利用効率が、どれほどのものか、実地の研究をしていたわけです。
 高速道路というは、人工的環境です。それを利用するには、単に運転が出来るだけではだめで、それぞれの国の道路交通法、案内標識、サーヴィスエリアの利用、ガソリンの入れ方、午後の三時間は、siesta と言って、service station が閉まってしまうイタリア、などなど、日本とはまったく違う人工的環境に適応しないと、時には命も危ないことがあります。
 それを、何気なく、当たり前の顔をして、自国にいるように適応でくるのが、「グローバル人材」です。そして、詳しくは述べられませんが、私の経験では、英語の環境利用効率は、大変高く、殆ど英語だけで、日本にいるのと、変わらないくらいの人工的環境適応ができました。
 次回は、すこし、その具体例を紹介します。

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