「装飾写本」の中の「花鳥風月」。

今日の話は、なぜ、Illuminated manuscript の illumination (装飾)を、Da Vinci などの「風景」に続いてとりあげたか、です。
 ルネッサンス期の「絵描き」は、「風景画」の注文がないので「風景画」は描かなかったけど、「風景」は描いた、と指摘しました。
 その際、マタイ伝にある「エジプトへの逃避」は、道中の「風景」を描く格好の「口実」になりました。実際にキリスト一家がエジプトに行ったかどうかは、真偽さだかでないところもあるそうです。マタイ伝以外の、ルカ伝、ヨハネ伝、マルコ伝には、この話は載っていません。それなのに、非常に多くの「絵描き」たちが、この場面を描いているのは、「風景」が描けるからでした。
 実際にエルサレムからエジプトへの道中の「風景」は、どういうものだったか、「絵描き」たちは、行ってみて調べたわけではないでしょう。想像して描いたのです。
 私の手元にある、Atlas of the Bible で、そのあたりの地形を調べてみると、詳しくは分かりませんが、一見砂漠地帯のようです。緑豊かな感じではないです。その当時はです。
 しかし、「絵描き」たちが、想像して描いた風景の多くは、なんとなく、彼らが住んでいたトスカーナ地方の風景に似ています。全部が全部ではないですが。昨日も紹介したサイトを、見てみるといいでしょう。
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http://art.pro.tok2.com/Bible/BYoung/06Egypt/06FlightEgypt.htm
 彼らは、自分たちの周りにある「美しい風景」を、何とかして描きたかったのです。そう思いませんか。しかし、そういう風景は、人々がいつも見慣れているので、わざわざ「絵」にして部屋に飾ることもないので、そういう「風景画」の注文はなかったのです。この話、友人の「画家」に話したら、「なるほど、そうかもしれんな」と感心?してました。
 そこで、回りくどくなっていますが、やっと、Illuminated manuscript の話です。
 「風景」は、工夫すれば、「エジプトへの逃避」や、先に紹介したヨハネによる「キリストの洗礼」の場を戸外に設定したりして、絵の中に、不自然でなく、描くことができます。
一方、言ってみれば、個々の「自然」である、花々や鳥、蝶々などの昆虫、猫、犬、猿などの動物を、「聖書」の物語の中に、それだけポンと?描いたら、これなんじゃ、ということになるでしょう。「受胎告知」の場面で、鳩が描かれることはよくありますが。
 しかし、「絵描き」たちも、普通の人たちも、当時の豊かな自然の中に、咲き乱れる花々、花に群がる美しい蝶々、木の葉を這うカタツムリにも、「美」を感じていました。
 (ある説によると、美しいものの惹かれれるのは、人類のDNA に組み込まれているそうです。特に、男が、美しい女性に魅せられるのは。鳥などは、メスが美しいオスに惹かれますが、人間の女性はどうなのですか。女性の方、ご意見あればコメントしてください。)
 Illuminated manuscript では、text の内容に関係のないものを、文頭の initial や、左右上下の boaders ((marginalia) に、勝手に?描くことが出来ました。
そして、その目的は、Dark Age を「照らす」illuminate することにありました。
  国破山河在   国破れて山河在り
  城春草木深   城春にして草木深し
  感時花濺涙   時に感じては花にも涙を濺ぎ
  恨別鳥驚心   別れを恨んでは鳥にも心を驚かす

Barbarians (蛮族)によって、蹂躙され、破壊された、中世の街や村々にも、自然は力強く復活しました。そういう自然に illumination を見た、というのは、考えすぎかなあ。どう思いますか。
  そう思ったかどうかは、別として、Illuminated manuscripts の、illumination には、昨日いくつかの例を紹介したように、花々が蝶が、鳥が、その他の昆虫や動物が「美しく」描かれているのです。
  もうちょっと、勝手に推測すると、人々がそういう「絵」を求めた、というより、身の回りに豊富にあふれている「自然の美」を、いずれ枯れて散る花を、いずれ老いて死ぬであろう蝶の、美しい盛りを描きとめておきたい、という「絵描き」の本能のなせる業 art だったかな、と思います。
 というわけで、Illuminated manuscripts の中に、「風景」も描かれていますが、「風景」以外の「自然の美」が描かれている、ということを、紹介したかったのでした。

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