「紙の辞書」は、脳に悪い。デジタル辞書を使いましょう。

昨日、Kindle や Nexus 7 の辞書のことをはなしました。ああいう辞書を、どう呼ぶのか、調べてみたけど、わかりませんので、仮に Kindle dictionary とします。Nexus 7 の場合も含めて。
  Kindle で、e-book を読み始めてしばらくしてから、気がついたことがあります。
  なんとなく、スムーズに英文が読めるようになった、というか、滑らかに読めるようになった、というか、いわくいいがたいのですが、他によい言い方が見つからないので、一応そうしておきます。
 どうしてそうか、というのは、次の話を読むと、なるほど、と思うかも知れません。
 日本語の辞書の項目は、平仮名で、「あいうえお」順に配列してあります。ある語を調べるときには、その語を構成している「あいうけお」の順番に従って探します。当たり前のことですから、殊更説明するまでもないでしょう。
  英語の辞書は、abc 順に配列してあります。ある単語を調べるときには、その単語の alphabet の位置に従って探します。例えば、squint を調べたい場合、先ずは、s のところへ行き、ずっと辿って q のところへ行って、次の u、そして、i, n, t と順を追って見つけます。誰も当たり前にしていることです。説明するまでもないでしょう。
 われわれ日本人は、平仮名で、辞書の語を探すのに慣れていますので、英語でも alphabet 順に従って探すのに、何の抵抗も感じません。
 しかし、よくよく考えるとわかりますが、平仮名は、例えば、「のうしんけい」を調べる場合、「の」「う」「し」「ん」「け」「い」という六つの平仮名を、それぞれ声に出すか、subvocalize で音にするかして探しています。
  英語の場合は、先の squint の例ですと、知らないから調べているので、確かな発音はわかりません。一応ローマ字読み的な見当はつけるでしょうが。しかし、s を [ス] と音声化していては、そういう発音の alphabet 文字はないので探せません。眼で s を認知し、[エス] と音声化しているはずです。こういうことも、脳の中で起こっていることが見えると、いいのですが。
  だから、squint を調べる場合は、[s][q][u][i][n][t] の五つの alphabet 文字を識別しています。
  しかし、英文を読むときには、英文を構成する単語群のすべてを alphabet 文字に分別して識別してはいません。Kindle is the best e-book reader. という文があったとしたら、[K][i][n].... と認知しているのでなく、単語ひとつずつをひとつの gestalt として認知し、その語を subvocalize して読んでいます。
 そうやって読んでいるときに、知らない単語があると、今までは、紙の辞書を開いて、その単語を探さなければなりませんでした。
  そうすると、単語ひとつひとつを gestalt と認識していた脳が動きが、その時に alphabet 一文字ずつの識別の動きに、いわば low gear に入れ替わってしまいます。というのが、私の推測ですが、こういうことも脳の中を覗いて確認したいものです。
  こうやって、単語を、紙の辞書で調べるたびに、gear change を繰り返していると、読書という運転がギクシャクします。
  ところがです。Kindle で、英文を読み始めたら、知らない単語があるときには、その単語のところを long push するか、カーソルを持っていくだけで、辞書の説明が出てくるのです。その単語を構成する alphabet 文字を識別して認知する必要はまったくありません。
  その単語をひとつの gestalt として認知したままで、語義が調べられるのです。先の gear の例えで続ければ、gear change をする必要なないのです。運転は、スムーズに進みます。
  私が、Kindle で e-book を読み出したら、なんとなくスムーズに読めるな、と感じたのは、知らない単語があっても、Kindle dictionary で調べるので、脳としては、いちいち gear change をしなくてもいいからだ、と、説明したら、皆さんどう思います。
  なかなか、うがった解釈でしょう。当たっていると思いませんか。
  そこで、英語学習への提案です。
  ひところ喧々諤々していた「デジタル教科書」、なんとなくなりを沈めています。あの時、英語関係者、特に英文学者で、「デジタル教科書」に反対した人が多かったように覚えています。彼らは、全員「紙の辞書」派です。
  英語学習者に、「英和辞書」でなく、「英語辞書」を使わせるとしても、紙の教科書で、紙の辞書を使わせていたら、今指摘したように、脳が、gear change を頻繁にしなければならないので、いつまで経っても英文をすらすら読めるようになりません。
  デジタル教科書に、Kindle dictionary のような英語の辞書を default でつけておいたら、英語脳の養殖が進んで、日本人英語学習者は、英文をすらすら読めるようになる、と期待できませんか。
  誰か、脳科学者と協力して、そういうことの実証的研究をして、そういう英語のデジタル教科書を開発して、デジタル教科書反対派をぎゃふんと言わせませんか。
  WBC 三連覇を目指す侍ジャパン、若手が大いに活躍しました。もうイチローの時代は終わりました。英語学習の世界も、英文科的素養でなく、認知科学的素養を持った、若い研究者が出てきてもいい頃ではないかな。私が監督を引き受けてもいいですよ。
  という、夢物語でした。
  今日は、これから、東京へ行きますので、明日はお休みします。皆さんもお休みしてください。

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