ビデオが、英語を教える手間暇を省く。

  今日からは、 Salmon Kahn の video が、なぜ disruptive innovation になりえたか
という話です。そしてそれは多分彼が意識していたわけでもなく、意図していたわけでもないことだった、
というのが、私の考えです。
 その話に入る前に、今日は私の video history です。なぜその話から始めるか、おいおいわかります。
 実は、私はたくさんの video programs 作ってきました。
残念ながら、学校英語教育に disruptive innovation を起こすことはできませんでしたが。
 その話しをすると、Kahn のやったことが、なぜ disruptive innovation であったかが、分かります。
また、この話は、この後の、英語の flipped classroom の実際と関連がある、ということを、心に留めておいてください。

 SF Modular System では、1976年ごろの開発当初は、単語や syntax を教えるのに、B4 大のピクチャーカード (LPC) を使っていました
 その使い方の例として、名詞の場合は、こんな風でした。
 原則 8 or 9 の名詞の指示物を描いた LPC を、教授者が持って、教えます。
 その際、教授法のクラスで、学生にやらせてみると、一枚目を教えると、次には2枚目を教え、その順で3枚目、4枚目と進みます。
 それでは、8 or 9 枚目まで行った頃には、最初の方は忘れてしまいます。
 そこで、LPC を、L1, L2, L1, L2, L3, L1, L3, Le2, ... のように、何度も前に戻って見せて、その単語を言うような教え方 (学び方) を、習得させます。
 こうやって、何度も繰り返しても、3分30秒が平均の時間です。
 こうしてやらせてみると、L1 から、L8 or 9 までを、この順に揃え、右利きの場合は、LPC 8 or 9 枚を全部左手に持ち、右手で、まずは、L1 を見せて単語を言わせ、その L1 を一番後ろに持ってきて、L2 が見えるようにし、その単語を言わせますが、今度は、また、L1 を一番後ろから持ってこなければなりません。
 こういうのこそ、video で見せると、よくわかるので
すが、今はそれをやっている余裕がないので、ことばで説明します。
 ちょっと想像すればわかりますが、体の前に LPC の束を持っていると、その束と身体の間の隙間は、広くはありません。そこへ、LPC を前のほうから、持ってくると、狭いところへ入れなければならないので、うっかりすると、しまいそこなてt落としてしまうこともあります。
 視点を変えると、前の方は、がら空きです。想像してください。
 だから、LPC を L1 を一番上にして、束にするのでなく、L8 or 9 を一番上にして、L1 が一番下になるようにするのです。
 いざ、先のように見せるときには、まずは、L1 を見せて、次に一番後ろにある L2 を前へ持っていくのです。前の方は広々してますから、そこへもって行きやすいです。そして、また、L1 を見せなければなりませんが、その時は、L2 を後ろにしまうのでなく、右手で横へそらせば、L1 が見れます。
 後は、どうなるか、面倒だから説明しませんが、想像してください。
 
問題は、たかが 8 or 9 枚の LPC を見せるのにも、このようなややこしい工夫をしたのです。ややこしい、といっても、2、3 回練習すれば、全員上手にできるようになりた。
 
先日、私の 77 歳の喜寿を祝って卒業生たちが、お祝の会を開いてくれましが、今でも、そのやり方で単語を教えている卒業生がいました。
 名詞に限らず、形容詞、動詞も LPC を使って教えるのですが、それぞれ、独自の見せ方があり、英語科教育法では、そのやり方の理論的根拠を説明し、実際に LPC を持って練習したものです。

 今から振り返ると、このやり方では、一斉授業の形式になり、生徒は、声を揃えて言わざるを得ません。
 そこで、一人一人が、言えるようにするために、ChartBook を作って、生徒が心行くまで、反復練習できるようにしました。

 余談ですが、各学生に LPC を持たせようとすると、膨大な数になります。B4 の画用紙がめちゃくちゃたくさん要ります。紙だけでなく、絵をかいて印刷するのに、莫大な手間暇がかかります。
 それに加えて ChartBook となると、製本の手間がかかります。
 どうやって解決したか。
 
紙代のほうは、ちょうどそのころ、当時の文部省の特定研究から、前期後期の6年間、前後期中間の2年間は一般研究から、合計8年間総計2000万円以上の科研費がもらえたので、それで、まかなうことができました。
 絵描き、印刷、製本などの 「雑用」 は、卒業研究の課題として、当時、毎年10人以上いた卒業研究グループで行いました。
 この前の会で、卒業以来初めて会った K 君の顔を見て、私の最初の一言、「印刷の専門家だったな。」
 彼も破顔一笑 「先生よく覚えていますね。」
 それで、40年以上の時は一瞬にして埋まりました。
 
 とまあ、こんなことをしていました。
 
 そこへ、1980年に、帝人教育システム (後、TESCO 教育システム) から、児童英語教育カリキュラム開発の依頼がありました。
 この時、最初から私に依頼があったのでなく、当時児童教育専門家として、名を成していた他の三人の人と合わせて、4人でデモをした結果、もっとも新参で、当時は unknown の私が選ばれたのでした。
 他の人は、口でああするこうするとか、作ったものといえば、伝統的な教科書なのに、私は、たくさんの LPC や ChartBook、具体的な教え方など、見せるものがいっぱいありましたから、見世物勝ちでした。
 
 そこで、契約の段になって、私は一計を案じました。
 児童英語教室で教える Tutor/Tutoress としては、一応英語のできる人が前提になっていました。
 しかし、英語を知っていることと、教えることは別です。
 特に、学校英語の教科書中心の訳読とはちがう カリキュラムです。
 教え方を教えるために、Tutor/Tutoress を各地で、一か所に集めて何度も講習会を開くことは経費がかかります。
 更に、膨大な数の LPC を作っていたら、作るだけでなく、その梱包、発送、格納も大変です。
 
そこで、私は、会社に提案しました。
 ほとんどの 「教材」 は、紙でなく、ビデオにすれば、教え方の講習も最小限ですむし、経費も紙よりかからない。
 その時頭にあったのは、そのころ Panasonic より、初めて発売された業務用の video 制作・編集装置でした。メデァアは、U-matic でした。
 三管式の video camera も含んで、総額 500 万円くらいでした。

 これを買ってもらえば、すべての教材をビデオ化する。
 要するに、Kahn さんより、先にビデオには目をつけていたのです。
 Lst's use video to reinvent English Education
 ですよ。
 だけど、そうはならなかった。そのわけは、後ほど、明らかになります。

 機器だけでは、ダメで、スタジオや、制作のためのスタッフもいります。
 会社は、スタッフというと人件費が膨らむことを心配しました。
 そこで、岐阜に制作のためのオフイスを借りて、その場所と、そこに設置するビデオ制作装置を、私の研究室の卒業研究に使わせてもらえば、制作スタッフの人件費はかからない、と提案しました。
 結果、専任のスタッフ4人 (うち一人は、Hawaian lady) と、卒業研究のグループ10人以上で、Research Institute of Language Arts (RILA) を発足させ、都合2年間、ビデオ教材 (まだ、学習材には至らず) 制作に励んだのです。
 このころは、大学にいるのは、講義と会議の時くらいでしたね。
 その当時は問題だったかもしれませんが、その後は、企業との共同研究が奨励される時代になりましたから、先駆的なことでした。

  先に、LPCの見せ方をながながと読む人の退屈を承知で紹介したのは、ビデオを使えば、あんな面倒な熟練のいることは必要なくなる、ということを、読むだけでも面倒だ、と理解してほしかったからです。
 
 そこで、どのようなものを作ったか。なぜ、その時点では、disrupting innovations になりえなかった。
 というのが、次の話になります。
 今日は、とりあえず、今も使われているような、ピクチャーカードを使った、伝統的な一斉授業を、ビデオを使って flip しようとしたことを、
  すでに Kahn に先が得ること40年以上前に私がやっていた、ということの報告でした。
  そして、これがもとになって、disrupting innovation になりうる、今の SF Modular System に進化しているのです。
 まあ、使われればの話ですがね。
 この話はおいおいと。

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