『英語ものしり帖』「背中の巻」<背中は後ろのこと、危険がいっぱい>

背中の巻

背中とは、後ろ back のこと

胴体が、両肩から下のほうに伸びているところが「せなか」です。漢字では「背中」と書きます。
漢語では、「ピンイン」だそうです。日本語で音読みすると「ハイチュウ」になります。
これが、英語では、back と言います。

「せなか」「背中」と back では、何か全然別物という感じがします。
ところが、この「せ」と「背」には、「後」つまり、back の意味があるのです。

ネット上に『語源由来辞典』というのがあります。その「背中」(せなか)の項にこんなことが書いてあります。
背(せ)の古形は「そ」で、現在「そ」の形で用いる言葉には「そむく(背く)などがある。
「そ」は「それ(反)」や「そへ(後方)」と意味で、「せ」の語源は後方の意味と考えられ、物の後ろの部分を言うのもこのためである。

そして、「背中」とは、
その中央部分が背中で、「上」「中」「下」と三分した中間の意味。

「背中」というのは、胴体の肩から尻までの「後ろの部分」の全体を意味する「背」の真ん中の部分のことなのです。
そして、英語の back は、「背中」でなく、「背」のことなのです。


この「背」のもともとの意味が、やはり、「後」なのです。
Wiki の「背」に、次のような説明があります。

漢字辞典の説明によると、もともと人体の「腹と反対側」は「北」という字で示していた。
(「北」という字は、人を後ろ側から見た様子を描いた象形文字である)。
だが、(中国では)王がひとと会う時は南を向いて座る習慣があったので、南と反対の方角を指すために、「王の後ろ側(腹の反対側)」という意味で「北」の字がつかわれるようになった。
やがて「北」の字は、腹の反対側を指すためよりもむしろ方角・方位を指すために使われることのほうが多くなってしまい、腹の反対側を指すための字を新たに作る必要が出てきてしまった。
身体に関係することを指す字を作りたいわけなので、「(月)にくづき」を足して「背」という文字が作られた、とのことである。(かくして、もともと腹の反対側を意味していた「北」の字のほうは、(ますます)方角をばかりを指すようになった、というわけである)


他のヨーロッパ諸語も、例えばドイツ語の zuruck のように、'back' という意味の語が使われています。

現代の日本語で「背中」「せなか」と見聞きしていると、それらが、もともと「後ろ」の意味だったことに気が付きませんが、
要するに、「背中」「せなか」は、胴体の後ろの部分という意味なのです。

その意味が、具体的に表れる言い方が、「背後」です。
これを文字通り英語に訳すと、
the back of the back
という変な言い方になってしまいます。
英語でどういうか、と言えば、
behind
一語ですませます。
「背後から」は、
from behind
です。「背」「背中」を意味する back は、使いません。

こんな言い方をします。
背後で誰かが叫んだ。
Someone shouted from my behind.
背後に足跡が聞こえた。
I heard footsteps behind me.
「背」「背中」を意味する back は、使われていませんね。

One's back は、危険がいっぱい

日本語で、「背後を襲われた」というと、
油断しているところ、あるいは隙を突かれた、というような意味になります。
つまり、背後というのは、目が届かないので、そこを襲われれると弱いわけです。

Wiki 「背中」には、こんなことが書かれています。

背中は弱点であるので、武芸者は通常、敵に背中を見せないようにする。
あるいは、
背中は弱点であるので、江戸時代、武士道では、敵をいきなり背中側から襲うことは卑怯とされた。

そして、こんなことが付け加えられています。
フェンシングや、ヨーロッパの騎士道では、
相手を抱き込むようにして攻撃する=盾を封じたまま無防備な背を狙う方が楽であり、背面を叩きつける。
日本の武士道とは異なり、背を攻撃することが別段 卑劣とはされない。単なる「テクニック」といった位置づけである。


英語の back も同じことです。Back というと、それだけでは、いろいろな意味がありすぎるので、Wiki 英語版では、「背中」は、Human back になっています。
その Society and culture という項目にこんなことが書いてあります。

Many English idioms mention the back, usually highlighting it as an area of **vulnerability**;
one must "watch one's back", or
one may end up "with one's back up against the wall"; worse yet,
someone may "stab one in the back", but hopefully a friend "has got one's back".

'vulenerability' とは、「弱いところ」というような意味です。
Back は、目が届かないところだからこそ、そこをちゃんと見ていないと危ないぞ、というのが、
watch one's back
追い詰められた back が壁についたら、もう逃げ場がない、というのが
with one's back against the wall
もっと悪いのは、後ろから忍び寄って、
stab one's back
で殺してしまう。
確か
Brutus stabbed Caesar's back.
でしたね。
画像

そういう時、友達がいて、目をとどかせていてくれると、助かるわけです。それが
watch one's back
です。

こういうことを知っていることが「英語ものしり」です。
これを読んだ人は、また、一段と『英語ものしり」になりましたね。読まない人は、「英語知らず」のままですね。

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