『英語ものしり帖』「背中の巻」<聖母マリアは幼児キリストをどのように抱いたか>>

聖母マリアは幼児キリストをどのように抱いたか

Babywearing は、attachment parenting の提唱者であり、名付け親である小児科医の Dr. Sears の妻である Mary が思いついた言葉である、と先に紹介しました。

Mary という英語名は、キリスト教の聖母マリアのことです。
西洋絵画には、「聖母子」Virgin and Child と題したものが、いっぱいあります。特に「聖母の画家」と呼ばれるラファエロには、多くの「聖母子」の作品があります。
その全て(と思いますが)は、マリアと幼児キリストが一緒にいるだけで、マリアが幼児キリストを babywearing している作品はありません。
では、マリアは、幼児キリストを babywearing したことはなかったか、つまり、抱っこするか背中におぶって、carry したことはなかったか?

Pintaerest に
Mary babywearing baby Jesus
と題する pin があります。
Even Mary was a babywearer とも題されています。
そこで、そのサイトに行ってみると、Giotto の *Flight into Egypt* が出ています。
Wiki の記述によれば、
The flight into Egypt is a biblical event described in the Gospel of Matthew (Matthew 2:13-23).

下の画像群の最上列の一番左がその全体図で、その右が Mary babywearing Jusus の部分の拡大図です。
画像

私の知る限りでは、Mary が babywear をしている絵画・彫刻作品は、この Flight into Egypt の場面だけです。
そして、それを描いたのは、Giotto が最初だ、と言われています。
"Flight into Egypt" で google すると、いろいろな画家の絵画作品が出てきます。なぜか彫刻作品は出てきません。そこで、
"Flight into Egypt sculpture" で google すると、今度は、彫刻作品が出てきます。
上の画像群の最下段の左から三つが、彫刻または彫塑作品です。

Google すると出てくる画像や彫刻の中には、Rest on the flight into Egypt と題される休憩中の作品も多く含まれています。
移動中の場面のほとんどは、Giotto の作品を見倣ったのでしょうか、Mary は、馬またはロバに乗って、Infant Christ を babywear しています。
上の画像群を見てください。
最下段の右から二つ目だけが、Mary が歩きながら babywearing している画像です。
その右の最後の画像では、shoulder ride をしています。これは、babywearing ではないですね。

Giotto の拡大図で見ると、Mary は、現代言うところの sling 状のもので Infant Christ を babywearing しているように見えます。
他の画像でも、それらしく見えるのもありますが、ただ抱きかかえているだけのように見えるのもあります。
何れにしても、どの babywearing も facing in position です。つまり、Infant Christ は、"I want to see the world." という意思表明はしなかったらしいですね。

日本では「抱っこ」より「おんぶ」だった

Mary がそうであったように、キリスト時代から、おそらく、有史前から、industrialized world 以外では、facing in position/the front inward facing position の、現在言うところの babywearing が行われていたのです。そして、その世界では、piggy back という「おんぶ」による baby carrying/baby transport は、行われいなかったようです。

ところが、日本では、baby carrying/baby transport というと、もっぱら「おんぶ」でした。
つまり、「背」back が、重要な役目をしていたわけです。先に紹介した piggy back の画像に見られるように、他のアジア諸国やアフリカ、中南米諸国でも、「おんぶ」が行われています。
他の国はともかく、日本では、「背」が子育てに大きくかかわっていたのです。
そこから、「母の背中で聞いた子守唄」とか「母の背中のあたたかさ」というようなフレーズや、そのような歌詞を持った歌が多く作られたのでしょう。
「親の背を見て育つ」というのも、母の背に「おんぶ」されたことと無関係ではないでしょう。

こうなると、「背」は、単なる back ではないですね。
「背」の巻を終えるにあたって、日本の母の「背」の偉大さを指摘しておこうと思ったわけです。
なのに、今や赤ちゃんを「おんぶ」する母親は絶滅種になりました。母の「背」は、さみしがってはいないでしょうか。

最後の付け加えることがあります。
Baby transport に stroller に乗せて、移動する場合が目立っています。最近はどの駅にもエレベーターが設置されているので、stroller で電車で移動するのも難しくなくなっています。他の乗客も、満員状態でなければ、邪魔者扱いもしません。
この stroller は、アメリカ英語で、イギリス英語では pushchair ですが、日本語の「ベビーカー」は、和製英語ですから、気を付けましょう。
このサイトに、分かりやすい説明があります。

そして、stroller による baby transport は、babywear ではないですね。そして、Dr. Sears による attachment parenting に、むしろ反する行為ですね。
となると、「背」の出番はますますなくなるわけです。

これにて「背の巻」は終わります。

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