『英語ものしり帖』「股の巻」<股引>

ここらで、「また」の「股」には、隠れていただいて、「股」が「もも」になる場合を見てみましょう。

「股」が「もも」になる

「股引」(ももひき)の場合


日本の男性が、寒い時期に好んで履く「ももひき」という下着があります。
「ももひき」の漢字は、「股引」です。「腿」でなくて、「股」の漢字が当てられています。

余談です。
「股旅もの」という時代劇のジャンルがあります。
google すると、その由来には、
「旅また旅」から股旅という言葉を作家の長谷川伸が生み出した。
という説と、
博徒 (ばくと) ・芸人などが諸国を股にかけて旅をして歩くこと。
から来たという説があります。
この後の話に登場しますが、国定忠治など博徒は、「股引」状のものを履いています。
が、「股旅」(またたび)は、「股引」を履いているから、というのではなく、諸国を「股にかけて旅する」からということです。

股引は、履くもの?

ちょっと余談です。
ところで、股引を身につけるのに、「履く」というのはなぜでしょう。
「履く」というのは、靴・下駄など足に「履く」ものや、ストッキングを「履く」など「脚」に「履く」ものに使う動詞です。
その際、「履く」ものは、足から身につけます。上体部に身につけるものは、「着る」と言い、頭部で身につけるものは「かぶる」、その他装身具などは「つける」「はめる」と、日本語では、動詞を区別しています。英語では、身につける時の動作は put on、身につけている時は、wear と、全て共通です。

股引」は、腰まで覆う長いものですが、頭から被るのでなく、足から身につけるので、「履く」という動詞を使うのです。
英語では、put on/wear です。
脚、そして腿を超えて腰まで引き上げるので、「ももひき」と言うのでしょうか

この「股引」、博徒は「下着」でなく「上着」として着用していました。現在では、もっぱら日本の男性の「下着」になっています。

では、「股引」は、日本の男性専用の着衣だったでしょうか。「英語ものしり」としては、欧米ではどうなのか、気になるところです。

欧米でも股引を履く?

股引 の Wiki があります。そこには、こんなことが書いてあります。
「股引(ももひき)は**日本の伝統的ボトムスであり、下着としても使われた**。腰から踝まで、やや密着して覆う形のズボン型。腰の部分は紐で締めるようになっている。安土桃山時代にポルトガルから伝わったカルサオ(カルサンとも)と呼ばれる衣服が原形とされる。」
http://bit.ly/2qJPEtE
何のことはない、もともとヨーロッパ起源だったのです。

そこで、「カルサン」について調べてみました。

辞典・百科事典の検索サービス - Weblio辞書 の説明です。
カルサン [0] 【ポルトガル calção】
1.袴(はかま)の一。中世末,来日したポルトガル人がはいていたものに似せて,筒を太く,裾口を狭くしたもの。江戸時代,武士の旅装や大工などの仕事着として用いられた。
2.上部をゆるやかに,下部を股引(ももひき)のように仕立てた山袴。① が農山村に広がり労働着となったもの。裁着(たつつけ)・裾細類を呼ぶこともある。 〔「軽衫」 「軽袗」とも書く〕

http://bit.ly/2pAWFZV

では、来日したポルトガル人は、どういものを履いていたか、画像があります。
画像

そして、それに似せて日本人が作ったものは、
画像

どちらも、「股引」だけでなく、上下揃いの感じです。こうなると、「履いている」というより「着ている」感じになります。
試しに "股引" で画像を google してみました。
http://bit.ly/2r3I9el
股引の Wiki の解説にあるように、「日本の伝統的ボトムス」という画像が主体です。つまり、「上」(top) はなくて、「下」(bottom) だけで、「履く」ものです。

ハプスブルク皇帝の「股引」

来日したポルトガル人が履いていたカルサンの画像を見ていたら、Diego Velazquez などが描いた歴代のハプスブルク皇帝の全身肖像画が目に浮かんできました。
早速画像を google しました。
画像

このうち、Velaquez が描いたのは、二枚目と三枚目です。左から順に、
左から順に、カール五世、フェリペ四世、フェリペ二世、シシリア王フェルディナンド一世、マルカントニオ・コロンナ2世(教皇)
それぞれがどういうお方か、興味ある人は、google してください。

これらの画像を眺めていたら、今度は、日本の「股旅者」が目に浮かんできました。
下の画像を見てください。
画像

日本人ならわかる人が多いでしょう。左から、清水次郎長一家、国定忠治、番場の長太郎、そして、ご存じ水戸黄門一行です。

現代の「股引」は、現代では、もっぱら下着ですが、ポルトガルから伝わり、当時の日本人が真似して作ったものは、上の画像に見られるように、「上着」(上に着るもの)だったはずです

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