オペラよもやま話 その6 オペラにはシーズンがあり、歌舞伎にはない。


日本の歌舞伎は、東京の歌舞伎座などで、一年中公演が行われていますが、オペラには、オペラシーズンというのがあります。ヨーロッパの国々では、通常9月から、翌年5月が普通です。ヨーロッパを見習って発展してきたアメリカでも、例えばメトロポリタン歌劇のシーズンは、9月から5月になっています。
というのは、北半球の話で、南半球にあるアルゼンチンの世界の三大歌劇場の一つといわれる、ブエノスアイレスのコロン劇場のシーズンは、毎年5月25日だそうです。
つまり、ヨーロッパのオペラシーズンが終わった頃に始まるわけです。
同じ南半球にあるシドニーのオペラ劇場も世界的に有名ですが、こちらのシーズンは、1月ー3月と6月-11月になっています。
つまり、ヨーロッパも南半球もオペラシーズンは、冬の時期になっているわけです。
もっとも、オペラ劇場のシーズンオフの、夏期シーズンには、ヨーロッパ各地で、いろいろなオペラフェスティバルが開かれますが、それは観光客目当ての興行で、各地のオペラ劇場の公演が地元民のためというのとは趣旨が違っています。
そこで、なぜオペラシーズンは寒い冬の時期なのか、というと、寒い冬の夜はすることがないから、オペラ劇場で楽しむ、という説明がよくなされています。

それは、そうですが、別の説明の仕方があります。
岐阜大学とアラスカ大学 Fairbanks とは、私が岐阜大学国際交流委員長として、一番最初に交流提携を結んだ関係でした。余計な話ですが、私が国際交流委員長を6年後に辞めた後に、先方から交流提携を打ち切られました。
Fairbanks へは、夏だけでなく、零下30度の冬にも行ったことがあります。そこで、Fairbanks の住民の友人に聞いた話では、Fairbanks の生活で苦しいのは、寒さでなく、暗さ、だというのです。12月の冬至の頃には、日が登るのは11時ちょっと前くらいで、三時頃にはもう沈んでしまいます。9月の秋分の日から、3月の春分の日までは、一日の大半は太陽のない生活です。
その代わり7月の夏至のときは、一日中日が沈みません。アラスカにはアメリカのプロ野球の1A のリーグ戦がありますが、毎年、7月21日には、真夜中(と言っても太陽ギンギラですが)の0時にプレイボールということになっています。
なぜ、この話を持ち出した、というと、ヨーロッパの殆どの国は、日本より北にあります。ローマの緯度は、ほぼ北海道の釧路とほぼ同じです。
Screenshot 2020-01-19 at 3.11.38 PM.png

ということは、緯度の高いところほど、冬季、具体的には9月21日以降の日が、どんどん短くなるわけです。そうなると、夜が長くなる、だから、オペラ、というのでなく、その反対に、日が長い日々が少ないから、つまり、夏が短いから、その短い夏、つまり7月や8月は、なるべく外で過ごしたい、と思うわけです。そうなれば、6月、7月、8月にオペラを劇場内で上演しても、観に来る人はすくないわけです。だから、夏にオペラを上演するというと、有名なのは、イタリアベローナの野外劇場とか、湖上で開かれるブレゲンツ音楽祭など、戸外のオペラ上演になります。
こういうことも、その証拠になります。
ヨーロッパでも、アルプスの南は、アルプスの北より、夏が長めです。だから、ミラノスカラ座のシーズン開きは、毎年12月7日と、12月になってからです。
今シーズンの12月7日の初日は、Anna Netrebko の Tosca で幕を開けました。
日経が提携して日本語訳版を提供している Financial Times に詳しい批評が出ています。
https://on.ft.com/2RaOB2l
カーテンコールが16分も続いたという話です。毎年大統領が観劇に訪れ、開演前にはイタリア国歌が演奏されます。
スカラ座の開幕というのは、イギリスの経済紙である Financial Times が大見出しで伝えるほどの、ヨーロッパの一大行事なのです。
Screenshot 2020-01-19 at 2.59.18 PM.png

今日の、NHKBSプレミアムで、0時から、その Tosca が放映されます。これを観ない手はないですよ。真夜中ですから、放送時に観なくても録画して観たらいいでしょう。
今調べたら、この公演全曲とトスカのアリア、最後の場面、カーテンコールが YouTube に upload されていました。
全曲 (ドイツ語字幕)
https://bit.ly/36borQZ
アリア
https://bit.ly/2TDWxdS
フィナーレ
https://bit.ly/2ugDGew
カーテンコール
https://bit.ly/364ldPd

そこで、今日は、オペラには、シーズンがあり、歌舞伎にはない、というのは、太陽の日照時間と関係がある、という「オペラよもやま話」でした。そして、実は、このシーズンがある、ということが、前回指摘した、歌舞伎は、同じ演目なら、歌舞伎通はともかく、普通の人には、どれを観ても同じだけれど、オペラは、同じ演目でも、全く違ったように見える、ということの原因になっているのです。この続きは、次回以降にして、今日は、とりあえず、今夜のトスカの放送に間に合うように、このあたりで切り上げます。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント