オペラよもやま話 その11  オペラ劇場の最高責任者はだれか。その名称は?


先回は、ちょっと横道へそれました。本線へ戻ります。
世界中のオペラ劇場で、シーズン中は毎日のように、さまざまな演目が、さまざまな舞台セットで、さまざまな衣装で、そして、さまざまな歌手が歌って、演じているわけです。
では、一体、誰が、どういう演目を演ずるか、その舞台セット、衣装はどういうのにするか、など上演に関することを決めているか、ということ、知りたくありませんか。
知りたい人もいるでしょうから、今回から、その話をすることにします。何しろよもやま話ですから、あっちに行ったり、こっちに来たりします。
この話、一筋縄では行かないのです。オペラ劇場によって、国によって、いろいろ違いがあります。そもそも、歴史的に、いろいろ変わって来ています。
あれこれ、一度の紹介すると、混乱しますから、とりあえず、私が一応もっとも知っている(と思っている)NY の METの例から始めます。
MET の Live Viewing は、1シーズン遅れで、WOWOW で放送されています。シーズン中の Live Viewing を見たい人は、このサイトで、上演劇場と上演スケジュール、上演劇場、料金など知ることができます。
https://www.shochiku.co.jp/met/theater/
名古屋地区は、名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで見れます。
Live Viewing では、幕間に指揮者や出演歌手だけでなく、舞台装置や衣装を担当する裏方の人たちのインタビューも、放映されます。そこにしばしば登場するのが、MET の現在の General Manager の Peter Gelp です。
この General Manager は、日本語では「総支配人」と訳されています。
日本や MLB で、GM と呼ばれる人がいますね。あれは、General Manager のことです。落合博満さんが、中日ドラがゴンズの GM をしていたことがありました。そう言っては語弊がありますが、中日フアンには評判が悪かったですね。最近では楽天の石井GMが、いろいろ話題を提供しています。
プロ野球に詳しい人は、この GM と、試合の指揮を取る監督の役割分担について知っているはずです。今は昔、広岡さんがロッテのGMになり、当時の監督だったボビー・バレンタイン監督の指揮に色々口を出して、MLB で、GM と監督 (英語では manager) との明確な役割分担に精通しているバレンタイン監督を怒らせて、監督が辞めてしまったことがありましたね。

よもやま話ですので、話がそれました。
そこで、オペラ劇場の GM に話を戻します。
オペラ劇場の GMの仕事については、今紹介した Live Viewing の幕間のインタビューにしばしば登場する、現GM の Peter Gelp の話から窺い知ることもできますが、私が、その仕事をもっともよく知るようになったのは、この本からです。1972 年(昭和47年)の10月の出版です。Kindle edition は、ありません。
Bing.jpg
この本の著者、Rudolf Bing は、MET の GM を1950年から、1972年まで、22年間(この本によると、5000 nights) 勤めた伝説の GM です。
私は、この本を、出版直後、つまり、1972年の10月に買って読んだはずです。
実は、1972年の5月に、当時滞在中だった UCSD のある San Diego から NY に飛んで、MET のシーズン終了直後の Verdi Festival で、確か3つくらいの演目を見たのが、MET の初体験でした。ということは、この時が、Rudolf Bing の最後のシーズンだったわけです。
https://www.operanews.com/
私は、それより以前から MET の発行する Opera News という雑誌を毎月購入していて、MET のことには、詳しかったのです。

それは、さておき、この本を読むと、とりあえずは、MET の GM の仕事がどういうものかよく分かります。印象的に覚えているのは、舞台裏にある、スタッフが使う elevator の運転手?が、立ちづめでは辛いから、椅子を置いて座って運転してもよいかどうか、を決めるのも GM の仕事、ということでした。
GM には、もっと大事な仕事がいっぱいあります。

その話の前に、
アメリカの他のオペラ劇場、更には、ヨーロッパのオペラ劇場でにも、この「総支配人」が置かれていますが、どのように呼ばれているか、ちょっと調べてみました。
まずは、アメリカですが、先回紹介した各地のオペラ劇場では、General Director という名称がもっともよく使われています。

イタリアではどうか、というと、先回紹介したシーズン開きのトスカの劇評がイギリスの FT (Financial Times)に載っていて、そこにこんなことが書いてありました。
Sitting in his customary box, superintendent Alexander Pereira, whose contract was not renewed following a recent funding scandal involving the Saudi government, surveyed the extravaganza for his last time in charge.
英語で superintendent というのですが、イタリア語では、sovrintendente になります。
この英語の superintendent は、アメリカでは、教育長を指すのに使われます。

Intendant の語源は、direct ですから、superintendant と言えば、general director と同じ意味になりますね。
ドイツのオペラ劇場の総支配人の名称は、このことを更に裏付けます。
1963年(昭和38年)、日生劇場こけら落としの公演に、当時西ドイツのベルリン国立劇場が訪れました。その時に、総支配人にあたる Rudolf Sellner も来日し、初日の Fidelio の後、指揮者の Kahl Böhm と抱きあって、初演の成功を祝いました。その Seller を Wiki で調べると、
He became Generalintendant (General manager) of the opera company, now called Deutsche Oper Berlin, in 1961.
https://en.wikipedia.org/wiki/Rudolf_Sellner
となっています。ドイツ語で、Generalintendant を英語では、General manager, つまり GM と訳しています。
フランスではどうか、というと、パリオペラ座では、こうなっています。
Stéphane Lissner est un directeur de théâtre français, né le 23 janvier 1953 à Paris (12e). Il est directeur général de l'Opéra national de Paris depuis juillet 2014.
英語で言えば、general director です。

軍隊用語で、General は、元帥です。最高の位です。
世界のオペラ劇場には、そういう general がいて、劇場を取り仕切っているわけです。
日本の新国立劇場はどうか、というと、
オペラ部門、舞踊部門、演劇部門と分かれ、それぞれに芸術監督が置かれています。下記サイトを参考にしてください。
https://www.nntt.jac.go.jp/about/foundation/director.html

そういう責任の重い、MET で言えば、GM の仕事は、 elevator の椅子以外に、どういうものがあるでしょう。その話は、次回以降に。
今日の話は、世界のオペラ劇場には、日本語で言う「総支配人」という人がいて、いろいろなことを取り仕切っている、そして、それぞれの名称には、多くの場合、general がついていて、それは軍隊で言えば、「元帥」になるわけで、とても偉い人、だということを、まずは理解しといてください。

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