オペラよもやま話 その18 Maria Callas 曰く「演技力のないオペラ歌手なんて問題外よ」

 どうですか。Tebaldi と Callas の「歌に生き、恋に生き」を見比べてみましたか。
私の感想を言うなら、Tebaldi は「歌い」、Callas は「演じ、かつ歌う」というところでしょうか。
 アリアは、そもそも歌うためのもので、演ずるためのものでないので、Callas の演技もあの程度ですが、このアリアの後の、Tosca が Scalpia を刺し殺すところは、まさに演技が求められます。幸い、Tebaldi と Callas のこの場面の録画が YouTube にあります。
まずは、Tebaldi を見てください。日本公演の時の録画です。Scalpia は、Giangiacomo Guelfi です。 https://bit.ly/2SFBJjY
続いて、Callas です。Scalpia は、Titto Gobbi です。https://bit.ly/38ktTmH
 どうですか。これはもう、演技力の差が歴然でしょう。Callas と Titto Gobbi は、何度も Tosca で共演していますが、最初の頃、そのリハーサルを見た人が、Callas が本当に Titto Gobbi 扮する Scalpia を殺すのではないか、戦慄した、と述べている記事を読んだことがあります。また、ある時の公演で、Scalpia を刺すプラスチックのナイフをあまりに強く Titto Gobbi を突いたためナイフが折れてしまって、Titto Gobbi が傷を負ってしまったこともあるそうです。
 Maria Callas の生涯を描いたドキュメンタリーは、いくつかありますが、2018年にアメリカでこの作品が公開されました。
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 子の作品2020年2月12日に WOWOW で放送されました。
その中のインタビューのひとつに、こんなやりとりがあります。
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 そして、この後、「見に行く気も失せるし、ゴージャスなはずの舞台が安ぽくなるわ」と述べています。
 
 どうですか。上の2つの Tosca を見て、あなたならどちらを見に行きますか。もっとも、それまで Callas を見たことのない日本の観衆は、このTebaldi の Tosca に「ブラボー」を連呼して感激しましたが。

 Maria Callas は、オペラの舞台で女優を目指しただけでなく、実際に、映画女優としても、この作品で主演をしています。
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 今思い返せば、私が初めて買った LP は、Tebaldi のオペラアリア集でした。その頃は、世界的に見ても、オペラがテレビで放送されることはなく、日本でオペラが上演されるこtもまれで、上演されたとしても東京中心で地方に住んでいる人には、オペラを見る機会などなかったですね。それは、他の国でも同じことで、アメリカでもオペラファンは、TEXACO が提供するMETのラジオ放送でオペラを聴いていたのです。
 つまり、ある時期までは、オペラは、見るものより、聴くものであったわけです。そういう時代には、Tebaldi、あるいは、MET の superstar だった Joan Sutherland のように、見た目より、歌を聞かせるソプラノが、大人気だったわけです。
 Callas の前と後とでは、オペラは変わった、とよく言われます。オペラが、聴くものから見るものになったのは、ひとつには、Callas の演技をみた Callas 後のオペラ歌手達が、やっぱり、歌だけでなく演技もしたい、と思うようになったということもあるでしょう。更に、もう一つの大きな原因があります。その話は次回以降に。

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この記事へのコメント

y.fujii
2020年02月14日 09:38
この映像の引用は不公平です。テバルディは殺す場面がないのに対し、カラスは殺す場面があって、その後がない。仕方がないのでNHKのDVDで見直してみました。すると、次の点が分かりました。テバルディは殺してから、ナイフを棄てた後、十字を切ります。そして蝋燭をゴッビの両肩におき、十字架をゴッビの胸において姿を消します。カラスは蝋燭を置く場面はあるが(映像の引用がないので記憶で書きますが)、十字も切らず、十字を置く場面もない。つまり、トスカは信心深い女性ということになっているので、テバルディの方が正しい。確かに殺しの迫力はカラスの方が勝っているが、正確な演技という意味ではテバルディの方が上。カラスのトスカは翌年に同じコンビでパリのオペラ座に出演し、映像も残っているが、コヴェントガーデンほどの迫力はない。この公演は3幕あるはずなのに、2幕目しか公表されていないのは、1幕目と3幕目はカヴァラドッシが主演だからとしか考えられない。要するにカラスのわがまま。一昨年のカラスの伝記映画は原題が「カラスによるカラス」であるように、カラス寄りのフェイク映画であることは小生のFacebookに書いたので見て下さい。テバルディの人気の理由が分からなかったのですが、ついでに蝶々夫人の映像を見て分かりました。テバルディはイタリア語が実に巧いのです(当然ですが)。だからイタリア人に人気があるのでしょう。カラスの映画「王女メディア」は監督のパゾリーニの独断と偏見の映画。カラスには気の毒だったけど、彼女の映像を残してくれたのは有難い。
y.fujii
2020年02月14日 10:57
〈続)書き忘れたので書いておきます。1956年にニューヨークのエド・サリバンショウにカラスが出たとき、縮約版ですが、『トスカ』2幕を歌っています。この舞台ではカラスはスカルピアを殺したあと、燭台をスカルピアの両肩のそばにおき置き、十字架を胸に投げスてて立ち去ります。スカルピアはジョージ・ロンドン。これは貴重な映像だ。テバルディの話をすると、昭和30年代のトスカの舞台で不思議なのは本物の蝋燭の火を使っていること。当時の日本の消防法では舞台で本物の火を使うことは禁止されていたから、本物の火を使うか否かで演出家と一もんちゃくあったに違いない。
SF
2020年02月14日 16:35
何が不公平ですか? Tebaldi の殺しの YouTube の URL もちゃんと載せてあるでしょう。しかも Scalpia は、Guelfei とまで、ちゃんと断ってあります。