オペラよもやま話 その19  オペラは、テレビより映画 (film) で見る時代があった。

 どうですか。Callas と Tebaldi の Tosca、どちらが気に入りましたか。
と、言うことは、現代の私達が、こうやって YouTube で見比べて、あれこれ言うだけで、当時の Callas fan, Tebaldi fan で実際に両者の Tosca を舞台で見た人は、極めて限られていたでしょう。どちらかだけを見て、やれ Callas だ、やれ Tebaldi だ、と口角泡を飛ばして議論していたようです。更に言えば、実際の上演を、舞台でみたこともなく、また、当時はテレビ放送も、DVD もない時代ですから、レコードで聴いただけの感想で議論していたかも知れませんね。
 それはさておき、当のご両人は、その当時のインタビュー記事などを読むと、特に Tebaldi は、全くライバル意識はなく、二人は結構仲がよかったようでもあります。それを裏付ける画像がネット上にいくつかありますよ。
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何だか仲良さそうですね。実際のところは、女心は分かりませんが。
 
何はともあれ、Tebaldi は歌手に専念し、Callas は、「演技力のないオペラ歌手なんて問題外」と言っているわけですが、彼女らに続くオペラ歌手達は、どっちについて行ったでしょうか。
 Callas の前と後とで、オペラは変わった、と言われることがありますが、そうならば、やっぱり、その後のオペラ歌手は、演技力を磨くことを心がけるようになったでしょう。
 Callas に言われるまでもなく、オペラ歌手でも演技力が必要とされる事態が、実は生じていました。
 それは、Tebaldi & Callas の全盛期を過ぎたあたりから、オペラ映画がいくつか作れ始めたのです。
 現在では、MET の Live Viewing を始め、オペラの映像作品と言えば、テレビや Video が当たり前です。しかし、振り返ってみれば、納得できますが、テレビが普及し始めるのは1960 年代の後半で、それまでの長い間は映画の全盛期でした。
 NHK が初めてオペラのテレビ中継をしたのは、1956年の第一次イタリアオペラ団の「アイーダ」でしたが、それは、B/W でした。イタリアオペラ団公演がカラー放送になったのは、1967年(昭和42年)の第四次からです。
 ここに興味ある Data があります。NHK では、on demand で過去の放送作品を視聴することが出来ます。大河ドラマの場合の on demand 可能作品を見てみましょう。1968年放送の「竜馬がゆく」の場合です。第16回の放送分しか視聴できません。
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その翌年の 1969年(昭和44年)の『天と地』も第50回の一回だけです。そして、このときからカラー放送になっています。
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それが、1970年(昭和45年)の『樅ノ木は残った』になると、総集編が視聴できるようになります。
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1978年(昭和53年)の『黄金の日々』
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https://www.nhk-ondemand.jp/share/group/taiga.html#/1/
現在の常識では、オペラ映画を作る、というと、大変なことだ、と思うかも知れませんが、この大河ドラマの話から判断できるように、この時代にテレビというかビデオでオペラに限らずドラマを制作しようとすると、なにしろ、録画用のビデオテープが一時間もので、当時のサラリーマンの年収に相当する額であり、ビデオ再生機器はタンスくらいの大きさだったといいます。だから、大河ドラマのビデオも1978年あたりまでは、録画ビデオを残してなかったわけです。
だから、ビデオで、オペラを撮影するより、それまでに、カラー映画の技術が確立していた「映画」でオペラを作るほうがはるかに簡単で安価だったのです。
Net って本当に便利ですね。調べれば何でも出てきます。こんなサイトがありました。こんなに沢山、特にポピュラーなオペラの映画が作られていたのです。この多くは、現在では DVD で発売されています。
The 25 Greatest ‘Opera Films’ Ever Made
https://bit.ly/2SRRX9U
制作年順に入れ替えて紹介します。Jean-Pierre Ponnelle の Madama Butterfly が抜けていたので付け加えてあります。

The Tales of Hoffmann (Offenbach) 1951; directed by Powell and Pressburger
Boris Gudonov (Mussorgsky) 1956; directed by Vera Stroyera
La Boheme (Puccini) 1965; directed by Franco Zeffirelli;
The 1963 Milan production of La Boheme, preserved in this 1965 film
Il Barbiere di Siviglia (Rossini) 1974; Like all successfully filmed operas, Jean-Pierre Ponnelle’s 1974 film of his 1972 La Scala production
The madama butterfly 1975 Jean-Pierre Ponnelle
The Magic Flute (Mozart) 1975; directed by Ingmar Bergman
Tosca (Puccini) 1976; directed by Gianfranco De Bosio
Le Nozze di Figaro 1978; (Mozart) directed by Jean-Pierre Ponnelle
Don Giovanni (Mozart) 1979, directed by Joseph Losey
Death in Venice (Britten) 1981; directed by Tony Palmer
The Bartered Bride (Smetana) 1981; directed by Frantisek Filip
Parsifal (Wagner) 1982, directed by Hans-Jurgen Syberberg
Cavalleria Rusticana (Mascagni) 1982; directed by Franco Zeffirelli
La Traviata (Verdi) 1983, directed by Franco Zeffirelli
Rigoletto (Verdi) 1982 Jean-Pierre Ponnelle
Carmen (Bizet) 1984; directed by Francesco Rosi
Pagliacci (Leoncavallo) 1984; directed by Franco Zeffirelli
Carmen (Bizet) 1985; directed by Peter Hall
Werther (Massenet) 1985; directed by Peter Weigl
Otello (Verdi) 1986; directed by Franco Zeffirelli;
A Village Romeo and Juliet (Delius) 1986; directed by Peter Weigl
Eugene Onegin (Tchaikovsky) 1988; directed by Peter Weigl
Maria Stuarda (Donizetti) 1988; directed by Peter Weigl
Lady Macbeth of Mtsensk (Shostakovich) 1992; directed by Peter Weigl
Salome (Strauss) 1992; directed by Gotz Friedrich
Elektra (Strauss) 1993; directed by Gotz Friedrich
Madama Butterfly (Puccini) 1995 Frédéric Mitterand production

このリストを読み解くと何が分かるか。読み解く人によりますが。
次回に、私が読み解いたことをいくつか紹介します。

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