何が何でも、プロはやらなきゃならない。

2010年06月02日のエントリーの再録です。

何が何でも、プロはやらなきゃならない。


Profession は、science の生み出す知識を利用して、lay society に services を提供する義務があるというところまで、前回書きました。

Harvey Brooks は、続けて言います。

This is an art because it demands action as well as thought,

ここは、ちょっと論理が飛躍している感じがしないでもないですが、
そこは、scientist でないから、こういう言い方も許されるのでしょう。
こういう service を提供するという行為は art である、つまり(先に art について述べたことを思い出していただければ)、あの手この手を使ってどうしても目的を達成しなければならないからです。そのためには、action が要求されるわけです。手をこまねいて眺めているわけには行かないのです。ただ、むやみやたらに動いてはダメです。ちゃんと考えてしなければ、つまり、thought (考えること)も要求されます。Ovid の ars amatoria もそうですよね。いろいろ考えてあの手この手で立ち回らなければ、コトは成就しませんからね。

そして、その次が、最も重要な指摘です。

and action must always be taken on the basis of incomplete knowledge."

医学の例をとって説明しましょう。原因不明のガン患者を目の前にした医者は、そのガンの原因がまだ解明されていないから、治しようがない、手術のしようがない、と手をこまねいているわけには行かないですね。Professional として、医学には lay person の患者(様?)に出来る限りの services を提供しなければならないのです。その場合、まだ分からないことがあっても、complete な knowledge がなくても、incomplete ではあっても、知っている限りの知識を総動員して、
action に、即ち、治療に踏み切らねばならないのです。

ここで incomplete を英和辞典に従って「不完全」と訳すと、やはり、誤解を招きます。

「不完全」というと、本来の意味はともかく、まだ完成していないので、使ってはいけないものだという含意がありませんか。
英語の incomplete は「complete でない」、というだけの意味で、complete の状態ではないけど、90%以上は、完成している場合のことを意味しています。
10%しか出来てないものを incomplete とは、言わないでしょう。
60%でも、incomplete でなく、海のものとも山のものとも分からない状態でしょう。
こういうところ、scientist である認知言語学者に教えて欲しいですね。何パーセント完成していたら、incomplete といえるのか。
多分、これから調べるという答えが返ってくるでしょう。しかし、今現在このブログを書いている私としては、このブログで、英語教育、英語学習を取り巻く社会的環境について、それには lay person の皆さんに、必要な情報 service を提供するために、手をこまねいて待っているわけには行かないのです。
だから、incomplete knowledge に基づいて、ともかく書き進めます。

この Harvey Brooks の指摘を受けて、Silberman は、更に書き進めます。

Professionals must work on incomplete knowledge
なぜなら、
because science does not, and as a rule,
cannot directly generate rules of practice
,
science は、実際にコトをおこなう (practice) ための rules を生むことをしないし、出来ないのが、建前なのです
ここで as a rule というのは、通常そうだ、という意味です。
また、rules of practice の場合の rule は、
an authoritative regulation for action, conduct, method, procedure,
arrangement, etc.
という意味で、authoritative というのは、こうすれば間違いない、という意味でしょう。

これに基づいて、上の文を、あえて訳せば(訳したくないけど)、
science では、実際の行動、行為、やり方、手続き、取り扱い、などに関する、こうすれば間違いないという規定されたやり方は、出て来ない、
という感じです。英語の原文から、意味を汲み取れればなお、いいですが。
要するに、science の知識では、実際にどうしたらよいか、分からない、ということです。

教育の分野に限れば、
and certainly not rules to cover the almost infinite variety of behavior
a teacher will experience in the classroom.

教師が、教室で経験するほとんど限りない variety of behavior をカヴァーする rule など、science に分かるわけがない、というわけです。
infinite variety of behavior を、どう説明したら、いいですかね。
behavior は、the way a person behaves or acts ということです。
ここでは、生徒の behavior のことでしょう。
行儀よくしなさい、という時に、behave yourself と言います。
verbal behavior という言い方もあります。ことば遣いのことです。
だから、ここにいう behavior は、ことば遣いも含めた、立ち居振る舞い全般から、学習上どのような反応をしめすかまで、正に、almost infinite(数限りない)ものです。それにどう対応するか、教師は迫られているわけです。

先日の日経に、高校生の5割(だったと思いますが)授業についていけないという調査結果が載っていました。それに対して、scientist である大学の学者は、何とかしなければ、というようなコメントを出していましたが、では、どうするか、という、ここにいう authoritative rules は、提示していませんし、提示することも出来ないわけです。日々教室で生徒に対している教師が何とかしなければならないわけです。
では、どうしたらいいか。簡単には分かりませんね。もうすこし、Silberman さんの話を聞きましょうか。
ということで、今日はこの辺で。

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