TEDで「生きた英語」を学ぶ?やめといて!

 昨日、広島大学の 「教英」 の学生さんたちの、TED を視聴しての感想を紹介しました。 私が紹介した以外のものも、ブログ・サイトへ行って読んでみましたか。
 ベスト・コメントとして、私が紹介したのに、「TED で生きた英語を学びたい」 という言葉がありました。
皆さん、この言葉、当たり前のこととして、読み過ごしましたか?
あなたも、TED で、「生きた英語」 が学びたいですか。

  「教英」 の学生さんたちの専門は、「英語」 です。 というより、本当は 「英語教育」 、平たく言えば、「英語の教え方」 です。「英文学」 や 「英語学」 ではない。 というか、そうでは困ります。
 文学部 「英文科」 の場合は、英米文学か英語学。 外国語学部 「英米科」 の場合は、 「英語」 になるのか、「英米事情」 なのか、よくわかりません。
 最近は、「英語コミュニケーション学科」 なんてのがあります。 そこの学生は、 TED で何を学びたい、とおもうのでしょうね。 やはり、「生きた英語」 なのかな。
 
 あなたが、TED で、日本語で talk したものを、他の国の、日本語を学んでいる人が見て、 「生きた日本語が学べる」 と言ったら、どう思いますか。
 私なら、
「では、私の話したことの中身は、どうでもいいのか」
と思ってしまいます。
もっとも私の日本語は、何を言ってるのかわからん、と日本人の間で評判になっていますので、「生きた日本語」 の模範にはなりませんが。
 それでも、私が日本語でスピーチしたり、講演をすると、皆さん笑いますから、ちゃんと聞き分け?られるようです。 
 
 「英語」 の専門でない人が、TED Talk を視聴するとき、「生きた英語」 を学ぶために、視聴するのでしょうか。
 日本人の場合は、「英語」 を学びたいという人が多いので、その目的で視聴する人もいるでしょう。

 では、各種 TED の会場にいて、話を聴いている人は、「生きた英語」 を学ぶために聴いているのでしょうか。
 彼らは、改めて 「生きた英語」 など学ぶ必要はないわけで、話の中身について学ぶために、聴きに来ています。
 私が、TED Talk を視聴するのは、話を聴くためです。 そのためには、TED なら何でもいい、というのでなく、私にとって興味ある Talk を選んで視聴します。
 こんなこと当たり前です。 わざわざいうことではありません。

 なのに、なぜわざわざ言っているか、というと。

 日本の学校の 「英語の先生」 は、大学も含め、先に挙げた、通称 「英文科」 の学部・大学院の出身者で占められています。 学部・大学院時代の専門と言うか専攻がなんであれ、何はともあれ、先立つものは 「英語」 です。
 
 こういうことも、頭に入れておく必要があります。
学校では、英語は、「英語科」 という、独立した 「教科」 で教えられています。
他の 「教科」 からは、独立した 「教科」 ですから、他の 「教科」 で教えられる 「学習内容」 は、「英語科」 では、教えません。

 英語の教科書には、算数の 「足し算・引き算・掛け算・割り算」 の話は出て来ません。
だから、以前にも紹介しましたが、『超整理法』 で名を売った野口悠紀雄氏のように、初めてアメリカに行ったとき、addition, subtraction, multiplication, division という英語を知らなくて恥をかき、自分が日本で受けた英語教育を恨んだ、という話になるのです。

 これも、以前に紹介した話です。 私は、昔の共通一次試験の第一回の出題者の一人でした。 Blood type という単語が、私の問題に入っていたら、そんな専門用語は、「英語科」 の試験には出せない、と総スカンを食いました。 Surface tension も同じ目にあいました。

 では、英語科の内容は、何になるか。
英語ということば自体と、そのことばでこしらえた 「物語」 が主流になります。 要するに 「言語芸術」 です。
 「言語技術」 も教えられるべきですが、なぜか教えられてなかったので、『理科系の作文技術』 で有名になった、物理学者の木下 是雄先生が、「言語技術」 の教科書を試作されましたが、検定教科書にはならならなかったので、ほんの一部の有志の国語の先生しか使いませんでした。 今は、どうなっているかな。
 「言語技術」 は、英語では、language arts で、アメリカでは、English とは、別の教科書があります。
「言語芸術」 に当たる英語はありません。 強いていえば、language fine arts でしょうか。 要するに文学作品のことです。 Documentary などは、language arts の分野です。
 このようなことは、私のブログで、何度も取り上げています。 面倒だからいちいち紹介しません。

 「英語科」 で、他の教科の内容が、教えられないのは、教えていけないのではなく、「英語」 が専門の 「英語の先生」 は、他の教科の内容について、教えられる程度には知ってないから、教えないのです。
 高校までは、更に、大学の一般教養科目で、他の教科の内容について、定期試験や入試に合格する程度には学んでいるので、知らないことはないのですが。
 最近のことには疎いので、私の過去の経験に基づいて書いてますが、この傾向今でも続いていますか。 コメントください。

 と思っていたら、広島大学の 「教英」 の学生さんたちが、多種多様な、他の 「教科」 の内容を含む TED Talk を視聴して、いくつかのコメントで、例えば Math と英語以外の内容 (というより、ほとんどの内容は、英語とは関係ないものです)のものに興味を持って、引きこまれた、と書いてあるのに、結局は、「生きた英語」、それも native English で学べた、と言っているので、このこと、皆さんどう思うかな、特に英語の先生、どうおもうかな、と思って、今日のトピックにしてみました。

「教英」 の、本当の専門は、「英語を教える」 、というより、「英語を学ばせる」 ことです。
そのためには、言葉の習得とか、脳の働きとか、コミュニケーションの仕組みや歴史とか、国際関係とか、各種のメディアの技術的なこととか、世界各地の風習とか、Ponte Vecchio は、固有名詞ではないというような 「雑学」 の知識が必要です。
TED Talk には、そういう話がいっぱいあります。
それなのに、「生きた英語」 を学ぶために TED を見て、内容の方の学習を深めないのは、将来英語教師を目指す学生さんとして、そういう意識でいいのかな、と思ったのです。

要するに、私の、このブログで、取り上げているような話に興味をもつことです。
「英語学習もろもろ」 というのは、「もろもろ」 のほうが大事なのです。
それなのに、「もろもろ」 の話をすると、とたんに アクセスが減ります。 「英語」 の話をすると、増えます。

英語教員を志す学生は、すべて私のブログを読むべきでないかなぁ。
というのが、今日の話のオチでした。

コメントあるかな?

"TEDで「生きた英語」を学ぶ?やめといて!" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント