ヨーロッパの階級社会とアメリカの階層社会。 社会のはしごを登るには。

 ヨーロッパのリベラル・アーツ教育は、エリート養成のため
と言うのが、昨日のタイトルでした。
 うっかりしてました。 「エリート養成」 でなく 「エリートの教育」 のためでした。
今、昨日のタイトルをそのように、変えました。
 そう言われてみれば、皆さんも気がつくでしょう。 階級社会のヨーロッパでは、エリートは、養成するまでなく、もともとエリートです。 養成する必要はないのです。
 そのもともとのエリートに、エリートにふさわしい教育をするのが、
ヨーロッパの liberal arts (つまり、「古代ギリシャ・ローマ」 のエリートであった 「自由市民」 のための arts) であったのです。
 ですから、それは、エリートの子女の中学校時代から始まったのです。

 今まで便宜上 「リベラル・アーツ教育」 という言い方をしてきました。 こういう言い方をすると 「リベラル・アーツ」 で教育をして 「エリートを作る」 という意味合いになります。
 階級社会のヨーロッパでは、エリート階級はもともと存在する、作るまでもない。 そういう考えをすると、
「リベラル・アーツ」 は、それでもってエリートを教育するものでなく、エリートがエリートたるために身に付ける arts、
 ということになります。 ちょっと周りくどい言い方でわかりにくいでしょうが、この後の説明でわかるようになります。 かな?
 
 Wiki では、日本語版は 「リベラル・アーツ」 となっています。 英語版は、"Liberal arts education" になっています。
そして、こんなことが書いてあります。
Despite the European origin of the liberal arts college, the term liberal arts college usually denotes liberal arts colleges in the United States. Only recently, some efforts have been undertaken to "re-import" liberal arts education to continental Europe,
そして、
In the United States, liberal arts colleges are schools emphasizing undergraduate study in the liberal arts. 

 何度も言っているように、ヨーロッパのエリートのためのリベラル・アーツは、中学校段階から始まります。
Wiki の記事からわかるように、アメリカでは、大学段階から (実はそうではないことは、後から紹介します) 始まります。
 そして、それは、liberal arts education であって、言ってみれば、「エリート養成」 のための教育なのです。 そう割り切ると話がわかりやすくなります。
階級が存在しないアメリカ合衆国では、もともとエリートはいなかったわけです。 建国から時が経つと、だんだん金持ち階級が出てきましたが、「成金」 と言われるように、金だけではエリートになれませんでした。
アメリカ合衆国は、そもそも Pilgrims Fathers という清貧の人たちから始まり、その後、どんどんヨーロッパの貧しい人たちが移民してきて作った国ですから (ちょっとわりきりすぎてますが)、階級なんて最初からなかったのです。
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 ところが、建国後年月が経つと、だんだん貧富の差が出てきて、ここに社会学者のいうところの 「階層」 が出来てきました。
 大雑把な分け方では、日本語でもいう 「上流」「中流」「下流」 です。 この内、なぜか 「中流」 だけは、「中流の上」 「中流の下」 ということがあります。 これもなぜか 「中流の中」 とはあまり言いません。 日本は、「一億中流」 と言われたことがありますが、どこでも 「中流」 が一番多いので、その中でも 「上中下」 と差を付けたがるのでしょう。
 これを英語で言うと、upper class, middle class. lower class (low class ではないです)。
 Middle class は、さらに、 upper middle, lower middle になります。 Middle middle class は、単に middle です。
 このように、階層社会を表すのに class を使うので、「社会階層」 を英語で言う時にも、"social class" と言う人が多いです。 社会学では、「社会階層」 を英語で言う時は、 "social stratum" を使います。
 
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そして、「社会階級」 は、"social class" と読んで区別します。
 そこで、「階級」 と 「階層」 がどう違うか、ですが、このことは、もうわかっている人も多いでしょう。 "social class image" で、google すると、違いが目に見えてわかる画像がいろいろあるので、それを紹介します。
 まずは、エジプトなど古代社会の social class.
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ヨーロッパの封建制の時代。 モーツアルトの 『フィガロの結婚』 の時代です。
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フランス革命前のフランスの階級社会。
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階級社会では、下の階級に生まれたものが上の階級に登ることは、ほぼ不可能でした。 スタンダール 『赤と黒』 (Le Rouge et le Noir)は、貧しい木こりの子として生まれた ジュリアン・ソレル(Julien Sorel) が、上流階級に成り上がろうとする話です。 読んだことのある人もいるでしょう。 私の高校時代の愛読書でした。 Gerard Philipe と Danielle Darrieux 主演の映画があります。 最近 digital remastered 版がでました。
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 上流階級から下流に落ちることはあるか。 落ちぶれて貧乏になることはあっても、腐っても鯛で、貧乏貴族として存在します。 R. Strauss の Arabella は、そういう事情を描いています。
 
 アメリカの 「階層社会」 のイメージです。
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 Social Stratum は、social class と違って、固定されていません。 この画像のように、social ladder を登って、上の階層 (stratum) へ登ろうとする人がいます。 登ろうとして落ちる人もいます。
 こんな画像もあります。
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 上の階層の生活ぶりをみたり、テレビでしか見れないセレブの生活をみて、よし自分も今にも、と望むことができるのです。 それが American Dream なのです。
 下の画像は、アメリカの階層の図解です。 ここでは、class ということばを使っています。
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このように、階層社会のアメリカでは social ladder を登って、より上の social stratum へ登ることができるです。
が、単に金持ちになっただけでは、だめなのです。 そこで、モノを言うのが liberal arts なのです。
 という話で、明日は、アメリカの liberal arts education の話になります。

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