オペラよもやま話 その14 オペラ歌手は役者ではない。だから演技は必要ない?


「演出」とは、何をすることか。一応 Wiki 日本語版を見てみましょう。
最初の定義に、こう書いてあります。

演出(えんしゅつ)とは、物事を表現するときに、それを効果的に見せること。またはその役割を担当する者のこと。また、機械などの動作の装飾的な動きも演出と呼ばれる。

そして、特に演劇をとりあげ、
演劇で演出を担当する者は演出家と呼ばれる。総合芸術である演劇において、全ての表現(俳優の演技、舞台美術など)を統括し、方向性を与え調和をはかる役割を持つ。同じ戯曲であっても、その演出家の個性によって演劇の色合いが大きく変わってくる。

Wiki 英語版では、見出しは、Staging (theatre, film, television)
となっていて、劇場、映画、テレビに当てはめています。特にオペラとなっていませんが、劇場に含まれるのでしょう。
そこに、具体的なことが書かれています。
This can include such things as positions of actors on stage (often referred to as blocking), their gestures and movements (also called stage business), the scenic background, the props and costumes, lighting, and sound effects.
役者の舞台上の位置、そのジェスチャーや動き、舞台背景、小道具、衣装、証明、音響、これらが演出家の仕事、ということになります。
https://bit.ly/37FpMBc

では、前回紹介した NHK イタリアオペラの演出を担当したブルーノ・ノフリさんは、このようなことをしてたでしょうか。
その答えを出す前に、まずは、こういうことから、考えましょう。

私は、NHK年末の紅白歌合戦は、ちあきなおみさんが出ていた頃に見たきりで、その後、30年以上見てないのですが、聞くところでは、最近の紅白は、歌手の歌をじっくり聞かせることがなくなって、若い(と言うより、幼い)女の子達や男の子達の踊りばかり見せられる、言ってみれば紅白踊り合戦になっているそうですね。昨年は、特にその傾向が強かったそうです。
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そう言えば、これも、ちらっとしか見たことがないですが、日曜日のNHK の「素人のと自慢」、あれも喉を使った歌を自慢するより、踊り自慢になっていませんか。
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YouTube で、昔の紅白歌手を見ると、例えば、藤山一郎、淡谷のりこなどは、直立不動で歌ってますね。手や腕をふることもしてませんよ。
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そこでです。NHKイタリアオペラ団が来日した頃の、オペラ歌手は、直立不動とまでは行きませんが、基本的に、歌うときは、じっとして、つまり、演技は最小限で歌に集中してました。
ここが、大事ですが、オペラ歌手は、「歌手」singer であって、「役者」actress, actor ではなかったのです。だから、
acting (演技 )する必要はなかったし、演技を求められることもなかったのです。
ある時点で、あるオペラ歌手が演技を始めるまでは。
このある時点、ある歌手の話は、この後に、詳しく紹介します。

NHKイタリアオペラ団の歌手達が来日した時点では、出演した主演級歌手達は、少なくとも第3次までは、全員当時世界超一流の singers でした。
つまり、歌ってさえいれば、演技 acting など、どうでもよかった、とまでは言えませんが、自分の持ち役であれば、いつものようにやっておればよかったのです。
ということは、歌手に演技をつけるという「演出」の役割は、必要なかったのです。つまり、ブルーノ・ノフリさんは、そんなことする必要なかったし、しようとしても、歌手の方から相手にされなかったかも知れません。
では、ブルーノ・ノフリさんは、何をしてたでしょうか。ここから話が長くなり、やや込み入ってきますので、次回にすることにします。

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