On line 授業は、ギリシャ時代の教育法。DX時代のものではない。

 今は一昔、NHK教育テレビで、今な亡き小川邦彦さんの担当する英会話番組が、この種の番組では、異例なくらいの人気を集めていたことがありました。並んで進行役を勤めていたマーシャ・クロカワの人気もありました。
 小川邦彦さんとは、私が、文部省在外研究員として
UCSD (University of California, San Diego) に滞在中に親友となり、彼の帰国後も親しく付き合っていました。
 その彼が、NHK教育テレビで英会話番組を担当することになり、一緒にやらないか、と誘ってきました。協力はするけど、私自身はテレビに顔を出すことは嫌だ、と返事しました。とにかく、担当ディレクターを紹介したいからと、ある日、渋谷のNHK で、打ち合わせに参加しました。
 その席で、私が、NHKの外国語の番組は、テレビという(当時としては)最新のメディアで制作し、放送しているけど、その中身、というか教え方は、ギリシア時代と同じではないか、と言いました。
 小島さんという、そのディレクターは、一瞬絶句した後言いました。「けだし名言だ。そのとおりです。」
その時の小島さんの表情と言い方は、今でも鮮明に覚えています。
 そして、その後、私なら、こういうふうにしたい、それが受け入れられるなら、私は出演はしないという条件で協力したい、と申しでました。
 私が提案した方法は、結果的に実現しなかったので、ここでは紹介しませんが、その特徴は、音のでない画面が多くある、というものでした。つまり、音の出ない画面の時には、テレビを視聴している学習者が、英語で発話をしなければならない、という英語学習なら当たり前のことでした。
 しかし、小島さん曰く、テレビ画面で、音が2秒でも途絶えると、途端に 、音が出ない、故障ではないか、とNHK に電話が殺到する。だから、そういう番組は作れない、ということでした。
 だから、結果として、私は辞退することになりました。

全く関係のない話です。
 この話し合いの後、NHK近くのバーに行って三人で飲みました。そのバーに別の男性二人連れがいました。小島さん、その二人を指差して、フランス語講座のディレクターたちです、と教えてくれました。そこで、私が、酔も回っていたでしょうか。シャンソンの「枯れ葉」をフランス語で歌い始めました。それを聞きつけたフランス語のディレクターたちも、口ずさみ始めました。アカペラです。私が、全曲フランス語で歌ってしまったので、小島さんも小川さんもびっくりしていましたね。ということも、ついでに思い出しました。
 Les Feuilles Mortes のフランス語歌詞です。

話を戻します。

 なぜ、この話を持ち出したか、というか、思い出した、というと。

 先にも紹介した日経の記事 (有料記事ですから、あなたの端末で読めるかどうかはわかりません。)
Screenshot 2020-11-25 at 9.46.17 AM.png
 ここで、まずは強調されているのが、
政府はデジタル活用の能力を備えた小中高校の教員育成に乗り出す。授業でのICT(情報通信技術)活用法を各教科で示すとともに、来年度からICT関連企業OBらを学校に最大9千人派遣。将来は全教員が遠隔授業などを実施できるようにする。

 最近、文部科学大臣が、大学に対して、対面授業を増やすように、要請しました。
 遠隔授業 vs. 対面授業

 という構図が出来ているようです。

 小中高では、全国的に、生徒が登校し、「対面授業」が復活、というか、以前の授業形態に戻り、遠隔授業は影を潜めているようです。先生たちはやれやれ、と思っているでしょう。

 しかし、文部科学省としては、コロナの第三波、第四波、更にはコロナ以降の、別の Pandemic の可能性にも備えて、いつでも在宅学習のできる状況にしておきたいのでしょう。
 それは、それで結構ですが、このやり方が、「遠隔授業」とか、「オンライン授業」とか、依然として、「授業」と呼ばれているのが、気になって仕方がないのです。もっとも、こんな事を気にするのは、私だけでしょうが。「授業」で何が悪いか、と普通の人は思っているでしょうから。
 なぜか、というと、この「授業」というのが、そもそものコンセプトや形態が、ギリシャ時代と変わっていないからです。
 NHK のテレビ英会話が、ギリシア時代のやり方を、単にテレビで放送しただけ(当の ディレクターが即座に認めました)のように、「オンライン授業」は、ギリシャ時代の教育形態を、コンピューターとインターネットで、配信しただけのものが主流です。

 もっとも、それだけでない、DX 時代に即したものもあるでしょうが、今回、政府が派遣する9000人の専門家は、どうやら全員 ICT 専門家で、教育・学習の専門家はいないようです。
 もっとも、それ以外に、
 大学教員ら「ICT活用教育アドバイザー」も派遣し、子どもの年齢や学力に応じた個別指導法、効果的な端末の使い方などを助言する。教員の養成段階からデジタル関連の専門科目を履修させることも計画。教員の世代交代に合わせ、将来的に全ての教員がデジタル活用スキルを身につけられるようにする。

 となっています。こちらの方が、本命となるように期待しましょう。
 
 そして、この online 配信は、日本では、コロナが契機で始まりましたが、アメリカでは、それ以前に、始まっていたことでした。
なぜ、それが、どのように始まったか、
2015年2月2日の、私のブログ・エントリーに、紹介してあります。
 明日は、それについて、お話しします。とりあえず、まずは、読んでおいてください。

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