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zoom RSS 「応用言語学者」=第二言語習得の専門家?

<<   作成日時 : 2010/05/20 20:51   >>

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大学の一般英語が、教養から実用へと転換したことで、チョムスキアンが大学教員になって「食える」ようになった、と前々回で指摘しました。そのチョムスキアンも今度は、前回の「生臭い話」で紹介したような、昇格のルートを登って、定年までちゃんと「食える」ようになるためには、研究業績を積み重ねなければなりません。その受け皿になったのが、前回に紹介した大学英語教育学会でした。
多分それまでは、昔ながらの文学部の英文科出身の英語学者が中心だった大学英語教育学会に、チョムスキアンが「応用言語学者」と名乗って大量に加わったことで、大学英語教育学会も変質してきました。(このあたりの事情、私の推測部分も多々ありますので、詳しい方があれば教えてください。)

その変質を示す、大きな動きがありました。昭和57年(1982)に、大学英語教育学会の中に、
the Japan Association of Applied Linguistics(JAAL) が設立されています。
そして、昭和59年(1984)には、JACETが、JAAL として、the International Association of Applied Linguistics (AILA) に加盟しています。
この頃から、Applied Linguistics を「応用言語学」と呼ぶのでなく、「言語教育学」と呼ぶす傾向が強まっています。「応用言語学者」が、晴れて英語教育の専門家と名乗ってもよい環境が出来てきたのです。

そうなれば、英語教育の専門家が多数大学の英語教員になったのだから、多数派が、守旧派の英文学派を押さえて、大学英語は画期的に改善されたものと誰しも思うでしょう。確かに、いろいろ新しい試みはあります。しかし、ご承知のように、大学生の英語力が飛躍的に伸びたという話しは、聞きませんね。一体、どうなっているか、と誰しも思わなければならないのに、そう思う人はすくないようです。日経を初めとしてマスコミは、「日本の英語教育は抜本的改革の時を迎えている」と繰り返しているだけです。どこに原因があるが、ちゃんと取材しなさいよ、と忠告のメールを送ってもなしのつぶて。
そこで、こういうブログを公開して毎日ぶつぶついわなければならないわけです。


閑話休題。
そこで先の「生臭い話」です。大学教員は、大学英語の担当者でも、研究職ですから、昇格のためには、研究論文を書かなければなりません。大学生の英語教育に没頭・専念して、学生の英語力を向上させても、それは、研究者としての業績として認められない、ということは、先にも紹介しました。

『はぐれ刑事純情派』の故藤田まこと演ずる安浦刑事は、優秀な刑事ですが、昇格試験や捜査報告書というペーパー・ワークがにがてでした。だから、いつまでも万年平刑事のはぐれ刑事でした。

それは、ドラマの話で、本当に目覚しい「英語教育業績」を上げて、その成果を目に見える形で公表すれば、それは業績として当然承認せざるを得なくなると思うのですがね。
しかし、目覚しい「教育業績」がなかったから、仕方がありません。
なぜ、めざましい「教育業績」が挙げられなかったか。それは、かれらが、applied linguistics 変じた「応用言語学=言語教育学」の専門を名乗っても、もともとの出自が言語学ですから、(先にも少し述べたし、この後詳しく取り上げますが、)本来、多方面の分野の知識を必要とする「英語を教える」技術など、持ち合わせていないからです。実は持ち合わせていないどころか、そういう技術的なことは、彼等の関心事でなかったのです。

こういうことがありました。これは大学英語教育学会のことではありませんが、先にも紹介した中部地区英語教育学会第4回大会で、私が提案した「英語教育学の発展を阻むもの」と題するシンポジュウムで、私が講師の一人として、英語教育学は、how の学であって、いろいろな分野の findings を活用する profession の「学」であると、提案した時、フロアーから、当時学会副会長であったS教授が、「藤掛さんの言われる英語教育学は、英語教育工学であって、科学としての英語教育学ではないではないか」と反論された。シンポジュウムの他の講師の中のひとり、後に会長にもなったA教授もS教授に賛同した意見を述べられた。

今年は、中部地区英語教育学会40周年で、その記念シンポジュウムの講師の中にこのお二人の名前がある。
テーマは、「中部地区英語教育学会40年を振り返り英語教育の未来を展望する−英語教育学発展のために−」
だそうである。私は行かないが、さて、どんなことが語られるやら。科学として発展したとでも言うのでしょうか。


これ後から付け足してますが、このテーマ、「英語教育学発展のために」となっていますね。「英語教育発展のために」ではないですね。これが何を意味するか、もう皆さんにはお分かりでしょう。大学英語教育学会も今年は、創立50周年だそうです。私に言わせれば、「学会栄えて、英語教育滅ぶ」です。

また、閑話休題。

「応用言語学者」にとって、またもや幸いなことに、applied linguistics の発祥の地アメリカでは、先の Wikipedia の記述によると、
By the 1990s, applied linguistics has broadened including critical studies and multilingualism.
となり、更に、
Research of applied linguistics was shifted to "the theoretical and empirical investigation of real world
problems in which language is a central issue."
というように、言語教育だけでなく、いろいろな「言語が central issue である現実世界の問題の理論的、経験的調査」へと、リサーチ的研究へシフトしてきたわけです。
こうなると、applied linguistics は、もともとの linguistics-applied でなく、applied linguistics という新種の linguistics の様相を呈してきます。そうなれば、science の「学」だと、開き直ってもかまわなくなります。

こういう話があります。岐阜大学教育学部に「付属カリキュラム開発研究センター」がありました。(今は改組して別組織になっています。)
その英語名は、Curriculum Research and Development Center です。産業界で、R&D といわれるのは、Research and Development のことです。ある実用的な技術や製品を開発するには、その開発に必要な Research が先立って必要だということですから、Research and Development の順になっています。日本語でも研究・開発と訳されています。
しかし、岐阜大学教育学部のものは、「付属カリキュラム開発研究センター」です。
これが設立された時、私もスタッフの一員に含まれていましたが、初代センター長の故N教授に、どうして、英語の通りに、「カリキュラム研究開発センター」としないかと、質問したら、ここは、カリキュラム開発を研究するところで、実際のカリキュラム開発を行うところではない、という返事でした。


私自身の英語学習カリキュラム開発は、8年間にわたって、当時の文部省特定研究からの研究助成金を得て、研究室で行ったものでした。

この例にも象徴されるように、大学の「研究者」は、開発的な仕事を嫌うというか、(多分そういう能力がないのかも知れませんが)それを避けて、論文と称するペーパーを書くための research work の方を重視するわけです。
先に指摘しましたね。applied linguistics は、その分野を second language acquisition の方へ expand してきたということを。
second language learning ではなかったのです。それは、開発的な仕事で、research work ではないですね。
しかし、second language acquisition なら、それは、research の対象になるわけです。かくして日本の大学英語教員「応用言語学者」の最も人気のある分野が second language acquisition になりました。それは、通称SLAと呼び習わしています。2001年には、J-SLA (日本第二言語習得学会)という学会まで設立されています。

second language acquisition を研究するなら、language acquisition 自体の研究の方が先ではないかと、思いませんか。実際アメリカの言語学会では、language acquisition 自体が主要テーマのひとつです。日本の「応用言語学者」がなぜそれをしないかというと、その研究は、まず母語の言語習得について行うのが普通だからです。そうなると、日本語の習得の研究をしなければなりません。それをやっていては、英語教員としての研究業績になりません。では英語という言語の習得の研究をしようと思ったら日本にいては出来ませんし、所詮 native speaker の研究者には敵いません。
そこで、SLA, not SLL (second language learning) となるわけで、ここに大量の SLA 研究者が出現し、それで論文を書いて研究業績と積み重ね、それで昇格しようという大学英語教師が大量に発生しました。
と、まあ、こういうことではないでしょうか。

応用言語学者って、なんだか、まやかしのような気がしてきませんか。もうちょっと書きたいことがありますが、疲れたので、明日にします。皆さんも疲れたでしょう。

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