日本の知的レヴェルを落とさないために。

今日は、極めて常識的なことを書きます。あまり常識すぎて、書くのが気恥ずかしいですが、たまにはこういうことも書かねばなりません。
  昨日、「中高生の孫に読ませたい本」ということで、新書版のような informational な読み物を推奨しました。
  一昨日、小学生の孫に読ませたい本」の時は、具体的な本を紹介しました。英語の本ばかりでしたが。
  日本の小学生が英語の本を読めるか、と思った人も多かったでしょう。非常識と思うでしょうが、私には、成算あってのことで、極めて常識なのですが。
  それは、さておき、「中高生」の時には、具体的な本の名前があげてません。なぜか。
  これを説明すると、またまた非常識な話になりますので、それは避けて、今日は、常識的に中高生に読ませたい具体的な本の話です。
  CCSS で、高校3年までに literary 30%、informational 70% にせよ、と規定してます。が、具体的な読み物の名前は、挙げていません。教師の選択に任されているようです。
  ここで、うっかりすると、忘れがちなのは、「教科書」だけを読む、というのではないことです。アメリカの教科書は、普通の本一冊より分厚いですが、所詮、各教科で、本一冊分くらいの分量しかありません。各教科の教科書を一年に一冊読んでいれば、「国語」にあたる English 以外は、全部 informational な内容ですから、informational reading は、既に小学校の段階から、80% を超えます。ELA に含まれる language art は、English についての informational reading です。
  小学校段階では、literary reading が 50% 以上になっているのは、教科書以外の reading で、literary works を読むからです。その習慣が、高校まで持ち越されると、他の教科の教科書以外の reading をしないと、informational reading の割合が増えないのです。
  だから、informational reading の割合を増やすには、教科書以外の informational reading の量を増やさなければならないことになります。
  アメリカのことは、さておいて、日本のことを考えましょう。
  あれから、数人の人に、中学・高校時代に、教科書以外にどういう本を読んでいたか、訊きました。ほとんど全員が、小説や物語をあげました。新書版を読んでいた人は、いませんでした。皆さんの中学・高校時代はどうでしたか。
  自分のことを振り返っても、やっぱり、夏目漱石とか世界文学全集とか、literary のものがほとんどでした。Informational reading は、ほとんどしてなかったようです。特に自然科学的なものは。
 大人になっても、こういう傾向の人は、結構居ます。ある社長さんが、そのブログに、「正月は読書三昧と洒落てみたい」と、それで、どうするか、「新聞スクラップの書籍広告から、面白そうな小説を選んで」となるわけです。挙げられている本は、だから、全部小説。
  どうやら、読書は小説に限る人が多いようです。皆さんはどうですか。常識的なお断りをしますが、何も小説を読むのが悪い、と言っているのではないですよ。私も小説読むのは大好きです。
 ただし、です。後は言わなくてもいいでしょう。常識で判断してください。
 小説好きがそんなに多いならベストセラーには、小説が多いと、常識は言うでしょうが、
  今年の、出版業界は、
小説とノンフィクション売れ行き低迷 出版不況深刻化、今年はミリオンセラーなし
http://www.j-cast.com/2012/12/03156536.html
 だそうです。中日新聞の記事では、ベストセラー上位10までは、全部、いわゆる how to ものだったそうです。
 読売新聞によると、
 2012ベストセラー、ダイエット関連本が席巻
小説は不振、文庫が主戦場に

http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20121211-OYT8T00389.htm
画像

  CCSS が informational reading と言っているのは、how to ものや「ダイエット」ものでなく、叢書 Que sais-je? のようなものです。
  日本で、そういう informational なものが読まれないのは、日本の知的レヴェルが、落ちていると、常識的に考えても分かるでしょう。
  だから、今の大人はだめだから、孫の世代には、中学・高校時代から、教科書以外の informational reading を、と言っているのです。
  何か、前置きが長くなりました。
  で、具体的にどういう本を読んだらよいか、です。極めて常識的な答えです。
  例えば、歴史の教科書で、太平洋戦争について学んだなら、教科書では、5,6行しか書いてないことでも、そのことに付いて詳しく書いた本が数多あります。従軍慰安婦のことは、一行しか書いてなくても、詳しい本があります。
  フロンガスについて、教科書の説明や先生の説明では、分からなければ、その方面の本を読めば、よく分かるでしょう。
  遺伝子組み換えや、iS 細胞など最新のことは、生物の教科書では、分からないでしょう。中学・高校の先生レヴェルでは、知らないことが多いでしょう。だから、本を読めばよい。
  ここで、ちょっと非常識なことを言えば、すべての生徒が同じ本を読む必要はない、読んだ本について「読書感想文」を書かせてはいけない、reading assignments のようなもので、強要してはいけない。生徒の好奇心の赴くままにまかせたら、ということです。成績にも反映させる必要なない。なぜ、そうか。非常識に考えてみてください。

  となるのですが、では、誰が、そういう本を見つけて、こういう本があるよ、と中学・高校生に教えるか、です。
  教育委員会、県教委、市町村教委?教育委員会がどういうもので、どういう人が教育委員になっていて、普通の人が教育委員会と思っているのは、教育委員会事務局であって、そこで、どういう人がどういう仕事をしているか、を知っていたら、教育委員会に頼むなど、考えないでしょう。
  一番いいのは、教科書会社が、教科書に参考文献として、そういう本を紹介しておくことでしょう。極めて常識的な答えです。
  ちょっと常識ははみ出しましょう。
  教科書が出版されてから、新しい本が出たらどうしましょう。常識になってないので、どの教科書出版社もやってませんが、website で絶えず informational further reading の renewal をしたらいいのです。それくらいのこと、する責任があると思いますが。
  教科書はただですが、一般の本は買わなければなりません。Amazon.co.jp などで、どんな僻地でも one click で買えますが、お金は one click で降ってきません。となると、図書館や図書室で揃えなければなりませんが、最近の報道によれば、学校の図書費はどんどん削られているそうです。
  先日、母の住んでいた家の片づけをしました。読書好きだった母が、溜め込んだ本や雑誌が山のようにありました。近くのブックオフを呼んで、買い取ってもらおうとしたら、母の蔵書でなく、弟が残しておいた池波正太郎の「鬼平犯科帳」のようなポピュラーなものや、花作りに凝っていた母の園芸関係の how to ものは、買い取っていきましたが、informational なものは、売れないから、と買い取ってくれませんでした。ちょっとびっくりしたのは、美術関係の画集などはダメでした。他の古書店に当たってみましたが、美術全集は要らん、というのです。あれは、かさばるので、困って、ひょっとしてと思って、通っている整骨院の奥さんに、あげるのでいりませんか、と持ちかけたら、院長と相談するので、一度見せてください、というので、重いので、4冊ぐらいをおいておいたら、その日の夕方に奥さんから電話がかかってきました。
  患者さんの中に、近所を中学校を定年で辞めた人がいて、その人に話したら、その中学校の校長さんは、美術の先生だから、欲しがるかもしれないよ、というので、早速連絡したら、ぜひ欲しい、という話になりました。
  話はとんとん拍子に進んで、翌朝教頭さんから、電話があって、今日の午前中時間があるので、戴きに行ってもいいか、という話。
  校長さんは出張中だったのですが、翌日電話があって、貴重なものを頂いて、ありがとうございました。丁度美術部を作ったところで、生徒に活用させます、と大いに喜ばれました。
  で、思ったのですが、私たちのような高齢者は、ぼつぼつ身辺整理をしなければなりません。ブックオフが買ってくれないような、いい本を沢山持っている人もいるでしょう。そういう本を、地域の学校や、公民館に寄付したらどうでしょうか。まあ、いろいろ問題もあるでしょうが。うまく matching すれば、うまい話です。
  どうも常識的な話は、だらだらとなりますね。
  一応、今日は、これで切り上げて、続きはあしたで、もうすこし、すっきりした話をしたいと思います。

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