PCによる画像処理が進化。ビデオ制作簡単に。

TESCO の仕事が終わって、2,3 年したころ、1986 年のある日、研究室にヤマハのシステム事業の I さんと名乗る人から電話がありました。
  ヤマハ100周年を記念して、それまでのビアノ教室に加え、子供の英語教室を開設したい、ついては、私にカリキュラム開発をお願いしたいので、責任者の T とお訪ねしたい、という話でした。なぜ、私に、と思いましたが、委細は面談の上で、ということなので、その時には訊きませんでした。
 お約束した日にふたりがみえて、こんな話をうかがったと覚えています。
 ヤマハの楽器特約店では、防音設備のついた教室を特設し、子供のピアノ教室を開いている。講師は、ヤマハの講習を受け、認定された人を派遣している。
 ところが、子供の数が減ってきて (その頃から少子化が始まっていたようです。特に都市部では)、折角投資した教室の稼働率が減ってきた。何とかしてほしい、という楽器店主からの要望が強くなったので、その教室を利用して、ピアノ以外に、コンピュータ、算数、英語教室を開くことにした。そのために、100周年という名目で新規に教育事業を始めるために、教育システム事業部を新設した。
 T さんは、長年ピアノ教室の運営の責任者として、チュター 研修など、教室運営の know-how の蓄積があるので、今回の三種類の新しい教室の開設の責任者に任命された。
 そこで、ピアノ教室の教則本のような、ヤマハ独自のカリキュラムを開発できる 「人材」 を探してくれ、と、東急エイジェントに依頼したところ、英語としては、私の名前が最適任者として出てきた。
 そのきっかけとなったのは、TESCO 時代に、宣伝のために、「母さん英語ができた」 と題する新書版の本が出されていたのを、担当者が読んで、これだ、ということになった、という話でした。
 余談ですが、後からわかったことですが、コンピューターと算数も、しかるべき人が推薦されて、契約をして、ある期間金を払ったのに、結局何もできなかったそうです。
 
 そして、結果として、私の英語カリキュラムだけが、期限内に、契約通りに完成したのです。
 もう一つつけ加えることがあります。
 子供の英語教室として、ヤマハは、幼児期からのカリキュラムを考えていたのですが、私が、4年生以上のものしか作れません、というか、作りません、と言ったので、別途幼児用を、ある方に依頼し、別途作業が進められていました。そちらの方は、遅れに遅れて、やっと開設時に間に合ったはずです。

 なぜ、こんな話を、と思いだした人も多いでしょう。
 ことは、disruptive innovations は、あるとき突然出てくるのでなく、じわじわと知らないうちに出てきていて、出てきた時には、それまでの、技術が陳腐なものになってしまう、
ということを、私の経験に基づいて具体的に、回りくどいですが、お話したいからです。
 まあ、読んでも損にはなりませんから、気楽に読んでください。

 TESCO の場合は、チューター研修に時間と金をかけたくない。また、チューター としては、多少英語のできる家庭婦人を想定していましたが、上手に教えられるかどうか、あてにはできない。
 だから、教えることは、もっぱら video に任せる、という手法を取ったわけです。

 ヤマハの場合は、ピアノ教室がそうであるように、英語の場合も、英語ができる人、それも正しい発音をできる人を選び、教え方の講習は、定期的に行う。
 つまり、学校教育のように、教授法重視の方針でした。
 ピアノ教室と同じく、最初から全国展開をめざし、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、松江、福岡に、支部を置き、各支部にチューターの講習・監督を行う director を置く、というものでした。
 私のカリキュラムに沿った教え方は、それらの director に 「伝授」 し、その directors が各地でチューターに 「伝授」 するというシステムでした。
 余談ですが、ヤマハの name value は、すごいもので、全国各地で優秀な女性の tutor が集まりました。テキストの英語など、うっかり間違えていると、すぐ追及されました。学校の英語の先生より英語のできる人が結構いました。
 ピアノ教室の目的は、ピアノを売ることです。教室運営で利益をあげるには、授業料だけではうまみがなくて、生徒に売るものがあることが大事です。
 教え方を楽するための道具は、作るのに手間暇がかかり、金もかかりますが、生徒には売れません。運営コストに降りかかってきます。
 だから、ヤマハとしては、TESCO のように、設備・人員を揃えて、ビデオのような教材を作ることは、最初から論外でした。
 ただ、一つ例外がありました。LPC です。
 単語を教えるのに、ビデオを使わず、LPC を使おうとすると、提示方法などの教え方は、講習で習得できますが、私のカリキュラムで必要とする膨大な数の LPC を、それもカラーで作るとなると、コストがかかるだけでなく、その配送、在庫管理など、手間やコストが馬鹿になりません。
 だから、その部分だけは、ビデオにすることになりました。
 しかし、TESCO の場合のように、カメラで撮影し、編集するための設備も人員もなしでどうするか、です。
 外注すれば、高いものになります。ヤマハの方は、心配したと思いますよ。
 しかし、ここにちゃんと disruptive innovations があったのです。
 そういうことを紹介したいために、この話をしているのです。
 
 当時、私の研究室に SONY の SMC 777 という PC がありました。
 世の中、富士通の FM-7 とか、NEC の 98 シリーズ全盛時代に、PC に進出したばかりの SONY の PC を買ったか、というと、
1980年代前半の 8 ビットパソコン普及期において、画像表示はデジタルRGB8色が主流で、それ以外ではせいぜい、アナログ512色パレット中8色表示のものが一部にあった程度だった。それに対して当機 (SMC777) は、カラーパレットボードを搭載すれば 4096 色中  色(高解像度では 4 色)という表現能力を備えており、当時としてはビジュアル指向を強く意識したものであった。
 また、
OS として供給されていた SONY FILER は CP/M のVer1.4 互換のシステムコールを持ち、ホビーパソコンにCP/M  の概念を持ち込んだ点でも特徴的である。
  以上 Wiki からの c&p でした。
 

 難しい技術的なことはさておき、要するに画像処理にすぐれていたのです。
 途中経過を省いて結果だけを話ます。
 要するに、このマシーンを使えば、カメラとか大掛かりな編集装置なして、一人で、先に紹介したような、名詞を教える video が作れてしまうのです。
 これが、disruptive innovation というものです。
 こうして、お金をかけずに、ヤマハ子供の英語教室用に名詞を教えるビデオができたのです。作業に必要な人手は、アルバイトで賄えました。
 後から考えれば、TESCO には、金を使わせてしまったわけですが、その時には、この技術は存在してなかったのです。
 
 PC による画像処理は、この後、Windows machine によって、飛躍的に進化します。次から次へと disruptive technologies による innovations が出てきます。このことは、後程話の種になります。

 そして、このような disruptive innovations が、単にビデオ関係の技術だけでなく、duplication, distribution, contents watching devices などの disruptive technologies によって、可能になるのです。
 念のためですが、disruptive innovations/technologies というのは、
 そういうものが出てくると、それまでの technologies や 機器などの装置は必要がなくなる、ということです。 
 PC による画像処理が進化したことによって、大掛かりな高価な video 制作・編集装置は、放送局仕様のものを除いて市販品からはなくなりました。一万円以下の software で、5 万円以下の PC で video 編集ができ、それを DVD に書きだすことができる時代に、何百万円とした video 制作編集装置は、お払い箱になりました。そういうことが disruptive なのです。
 私は、こういうことを、自らの経験で身に染みているので、くどいようですが、こうやって紹介しているのです。
 そして、そういう disruptive innovations によって、flipped classroom が可能になる時代になったのです。
 
 が、そういうことに無知な英語教育専門家は、相変わらず、紙の本を使って、英語教師が教室で一斉授業をすることしか、頭にないようです。Am I wrong?
 そういう頭では、flipped classroom など思いもよらないことで、放置しておくと、日本の英語教育は、ひょっとしたら教育一般は、ガラパゴスになる、と心配しているのですがねぇ。
 後は、また明日。
 (注: 単に watching device というと、監視装置になります。ここでは、PC, smartphone, tablet など、動画を見る機器のことです。)

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