『英語ものしり帖』「首の巻」<首を切る>

日本で斬首の習慣がいつ頃から普及したか分からないのですが、ヨーロッパでは、ローマ時代から、刑罰として存在していました。
そうならば、次は、「首斬り」の話になるのが筋ですが、実は、首は「斬る」ものであるだけでなく「切る」ものでもあるのです。

首を切る

ということで、まずは、「首を切る」話を先にします。
英語では文字通り、
cut neck
です。
"cut * neck" で google すると、おぞましい画像がいっぱい出てきます。ここでは紹介したくないので、そういうことに興味ある人は、自分で google してください。
どういう場合に、cut neck するか、というと、
二通りの場合あります。
ひとつは、人を殺す場合。
もう一つは自殺する場合です。


江戸時代、また、それ以前、侍は「自殺」するのに「切腹」という「腹を切る」方法が主でした。
しかし、女性の場合は、「切腹」は稀で、短刀で喉を突くか、短刀やその他の刃物で「首を切る」のが普通でした。
どちらが多かったか、というと、その当時の統計はないので推測するしか仕方がないですが、

武士の家族の場合は、短刀を持っています。百姓・町民の場合は、刀は所持できなかったですが、
カミソリとか鎌は持っていて、それらはよく研がれて鋭利でした。それを使って「首を切って」自殺していたと推測されます。

「喉を突いて」自殺するのは、大変苦しかったようです。首には、右と左の両側に頸動脈が通っていて、これを「切る」と一気に血が噴き出した、そのショックと出血でものの5分くらいでL絶命する、という話です。

「椿三十郎と闇の狩人」

黒澤明監督、三船敏郎、仲代達也主演の『椿三十郎』のラストシーンで、三船敏郎が仲代達也を切る(実は刺す)シーンで、その瞬間大量の血が噴水のように噴き出します。
この映画は白黒です。血の色が見えないので、血を見るのが嫌いな私のような人でも「見るに堪える」場面です。
画像

この時、三船敏郎が用いた技は、

「映画を愛した二人」黒沢明 三船敏郎』によると「逆抜き不意打ち斬り」という名で、心臓を切る技とされる。 映画では相手の室戸半兵衛役の仲代達矢が抜刀するより早く帯刀の刀を左手で逆手に抜き(元になった弧刀影裡流の技では順手に抜く)、刀の峰に右手を添えて刀を押し出して仲代達矢の右腕の下付近を切ったように見える。三船敏郎は早く抜くために普通の刀より5寸(15cm)ほど短い刀を使用したという。

ということなので、胸のあたりから血が噴き出ています。

この演出について、こんな記述があります。

本番直前に仲代の体にはいろいろな器具が巻き付けられ、それらの器具がどんな役目をするのか、仲代自身もさっぱり分からない。
二人の向こう側に立たせた加山雄三や田中邦衛など若侍役の俳優たちもここで何が起こるのがいっさい知らされていない。
だから、仲代の胸のあたりから大量の血が噴水のように噴き出した時は仲代自身をふくめた俳優全員はほんとうにビックリしたらしい。


実際に、右腕の下付近を切って、あのように
大量の血が噴水のように噴き出す
のか、ちょっと疑問に感じます。
頸動脈を切れば、そうなるのですが、その効果を出すために、「いろいろな器具」が必要となると、細い首にそういうものを巻き付けるわけにはいきません。
そこで、仕方なく(かどうかはわかりませんが)、衣服で隠れる胸のあたりに巻きつけて、それを刀で切ると、血が噴水のように出る仕掛けを作ったのです。

このリアルな「殺陣」シーンが評判になったため、黒澤の手法を真似たチャンバラ映画が続出することとなったわけですが、その代表的なものとして、
五社英雄監督の『闇の狩人』があります。

主演は奇しくも『椿三十郎』で切られ役になる仲代達也。これが『闇の狩人』では、大滝秀治扮する芝の治平を、原田芳雄扮する笹尾平三郎(実は、谷川弥太郎)に殺させる五名の清右衛門の役。
その殺しの場面で、笹尾平三郎が芝の治平の首筋を刀で切ると、真っ赤な血が、それこそ噴水のように飛び出します。カラー映画ですから、目を背けたくなります。
つまり、この方が解剖学的には正しいわけで、頸動脈を切ると、あれほど大量の血が噴き出るのです。

西部劇で、撃たれた俳優がその場で即死するかのように倒れる場面が当然のようにあります。実際には、撃たれて即死することはないそうです。もっとも撃たれどころによりますが。
死ぬ原因で、もっとも多いのは出血です。ですから、撃たれても血管を外れていて出血が少なければ手当をすれば助かります。

だから、江戸時代(それ以前も以後も含めて)女性が確実に、あっという間に「自決」するには、「首」、それも頸動脈を切るのが、もっとも手っ取り速い?方法だったのです。
ですが、多量の血で、その場を汚すのを嫌う場合は、別の方法を選ぶ場合もあったようです。
ちなみに、武家の女性の場合は、「自決」ですが、百姓、町民の場合は、「自殺」「自害」になるという差別が存在していました。
英語では平等に suicide です。

女性の「自決」と言えば有名なのが、Puccini の opera Madama Butterfly (蝶々夫人)です。
蝶々夫人はどのようにして、自決したか、明日のお楽しみです。

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