『英語ものしり帖』「肩の巻」<日本人の肩、黙して語らず>

日本人の肩、黙して語らず

日本人は感情を表に出さない、というのは、武士道の教えがもとになっている、と先回指摘しました。


"武士道 感情" で google すると、その趣旨のサイトがいろいろ出てきます。
武士道と言えば、先にも紹介した、新渡戸稲造。こんなサイトがあります。

新渡戸稲造が伝えた「武士道」
こんなことが書いてあります。
武士にとって、自分の感情を顔に表すことは、男らしくないことだと考えられた。
武士が鍛錬してきた勇気、礼の教えは、自分の苦しみ・辛さを表情に出すことによって、他人の平穏をかき乱すことがないように、という他人への配慮のためであった。
感情を表情に出さないことは「喜怒を色に表さず」という言葉で賞賛の対象となったのである。


そして、Inazo Nitobe *Bushido: The Soul of Japan* には、次の一節があります。
It was considered unmanly for a samurai to betray his emotions on his face.
"He shows no sign of joy or anger," was a phrase used in describing a strong character.
The most natural affections were kept under control.

Calmness of behavior, composure of mind, should not be disturbed by passion of any kind.


ここで、誤解してはならないことがあります。
西洋文化では、shoulders に emotions が出る。先の言葉を今一度引用すれば
Emotions play out in the theater of the body.
というのは、意図して、shoulders に emotions を表すのでなく、惹き起こされる emotions つまり 「情動」を、それをおさえようとしなければ、自然と
shoulders に表われる
ということです。

湧き出てくる emotions 「情動」を、抑えよう、人目にふれないようにしよう、とすれば、それは、shoulders にも表れないのです。
つまり、shoulders は語らないのです。

西洋文化で、「肩は口ほどにものを言う」というのは、西洋文化では、emotions をおさえようとせず、言ってみれば、辺りはばからず、出しっぱなしにするので、
それがおのずから、shoulders に表れるのです。

日本文化では経験することが少ないことですので、分かりにくい話になったかも知れませんが、何となくわかりましたか。

今一度、こんな風にまとめてみました。
西洋文化では、肩は口ほどにものを言う。
それは、西洋文化では、emotions 「情動」をおさえることはせず、自然の発露に任せているので、それが shoulders に表れて、様々な shoulders の movements で示される。


一方、日本文化では、情動 emotions や感情 feelings は、おさえて、人目にさらさないことが、人間として出来がよい、とされている
その隠された「心の動き」というか精神状態を覗き見ようとすれば、目を見ると、その目が心の窓になって、そこから心の内を覗き見ることができる。
顔で笑って、心で泣いている、そういうさまが、目という窓から見える、というのです。

西洋文化では、このように shoulders が口よりものを言いますが、日本語の「肩」は、何を言うでしょうか。

日本語の「肩」を使った、ポピュラーな言い回しを紹介しましょう。カッコ内は比ゆ的に使われた場合です。

 1 肩が軽くなる(責任や負担などがなくなって、ほっとする)
 2 肩が凝る(重圧を感じて気詰まりである)
 3 肩が張る(「肩が凝る」に同じ)
 4 肩で風を切る(肩をそびやかして、得意そうに歩く)
 5 肩に掛かる(責任や仕事などが、その人にかぶさってくる)
 6 肩の力を抜く(緊張を解く。力まずに、ゆったりと構える)
 7 肩の荷が下りる(責任や負担から解放されて楽になる)
 8 肩を怒らせる(肩を高く張って、威勢を示す。また、威圧するような態度を示す)
 9 肩を入れる(援助する。ひいきする)
10 肩を落とす(がっかりして、力が抜けて肩が垂れ下がる)
11 肩を貸す(援助する)
12 肩を竦める(両肩を上げて身を縮こまらせる。恥ずかしい思いをしたときなどのようす)
13 肩を窄める(元気なくしょんぼりとしたようす)
14 肩を叩く(上役が退職を勧める)
15 肩を並べる(対等の位置に立つ。同じ程度の力や地位をもって張り合う)
16 肩を抜く(担当していたことから離れる。手を引く)
17 肩を張る(威勢がよさそうに見せる)
18 肩を持つ(対立しているものの一方の味方をする。ひいきをする)

このような「肩」の使われ方をみてみると、比ゆ的な意味の多くは、emotions というより、態度を表すものが多いことに気が付きませんか。
そして、shoulders の場合は、raise, lower, sag, drop そして一語で shrug のように、shoulders が実際に動くのが observable の場合が多いのに、
「肩」の場合は、比ゆ的な意味の場合、「軽くなる」「荷がおりる」「並べる」「抜く」「張る」「入れる」など、実際に「肩」がそのように動くのではない、言い方が多いのに気が付きませんか。

こうなると、shoulders と「肩」とは、まったく別物のような気がしてきますね。

あなたは、どちらの肩を持ちますか? 「肩」or Shoulders?
Which do you side with, kata or shoulders?

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