『英語ものしり帖』「股の巻」<「股」は、ふともも?>

「また」の漢字は、「股」だけではない

「股下」「股上」「木の股」のように、「また」には、「股」という漢字が使われてます。
これらの例に限らず、日常の日本語では、「また」には、「股」という漢字を当てる場合が多いです。

『広辞苑』でも、「また」には、この漢字をあてています。
[股・叉] 脚の叉(また)になっている所
ところが、ここには、もう一つの漢字「叉」も当てています。「これもまた」という時に使う「又」とは微妙に違っています。小さい点が加わっています。
「叉になっている所」というのは、二つ(時には二つ以上のもの)が交わる点の場所です。

この「叉」、音読では、「サ」です。「交叉する」「交叉点」「三叉路」の「叉」です。交わるという意味ですね。
現在の日本語では、「交差する」「交差点」「三差路」と、「差」の方が多く使われています。
このこと、この後、問題になります。

「股」は、「また」ではない?

ところがですね、漢語辞典である『字源』で「股」をみると、こんな定義になっています。(旧字体を新字体に変えてあります)
股(

「もも、あし、また(大腿)膝以上を「股」、以下を脛(スネ)といふ。又、上下を通じて「股」という

となると、漢語では、「股」は、「もも」特に「大腿」のことになります。そして、時には、上下を通じて太腿と脛を含むと「脚」全体の意味になります。
どういう時にそうなるか、この後分かります。

そして、"だいたい" で google すると、「大腿」という漢字に変わり、
いろいろな辞書のサイトが出てきます。最初に出ている「コトバンク」の定義では、
「脚の付け根から膝(ひざ)までの部分。ふともも。もも。」
となっています。

要するに、「股」とは、もともとは、「ふともも」のことだったのです。

一方、それでは、「腿」とはどの部分か、というと、『字源』の定義は、
腿(タイ
「はぎ(脛)と股(モモ)との総称。股は大腿、脛は小腿」

そして、「はぎ(脛)」とは、
すね
【臑・脛】

膝(ひざ)から踝(くるぶし)までの部分。はぎ。 「親の―をかじる」(すねかじり)

ということは、
漢語の「腿」は、「すね」と「もも」の両方、つまり、「脚」全体のことだったのです。そして、「股」の部分が、「大腿」(ふともも)というわけです。

『広辞苑』で、「もも」をひくと「股」が出ています。そして、「ふともも」をひくと「太股」が出ています。どちらも「もも」に当たる漢字は「股」です。「腿」ではないです。
そして、「たい」には、「腿」という漢字はなく、
「だいたい」をひくと「大腿」が出ていて、そこには、「大腿骨」「大腿筋」が出ています。

"また" で google すると、「股」という漢字に変わります。そして、
画像

三っつの「意味」が出ています。
そして、"もも" で google すると、
上の画像の三つ目だけが出てきます。

私たちの、現在の日常の使い方は、「また」には、「股」という漢字を当て、
そしてその指し示す場所は、
「ズボンの寸法」の「股下」「股上」の起点となる場所なのです。もっと正確にいうと、「起点」となる「点」なのです。

「また」の漢字は?

そこで、先の『広辞苑』にあった、「また」のもう一つの漢字「叉」です。
これを『字源』で調べると、
「叉」
ふたまた
となっています。
要するに、こちらの漢字が、日本語で日常的に言っている「また」を表す本来の漢字なのです。
なのに、この漢字が日本語の中で使われるときは、「また」という訓読で使われることはなく(と言ってもいいでしょう)
先に紹介したように、「交叉する」「交叉点」「三叉路」と、音読されるときにだけ使われ、「交差する」「交差点」「三差路」と「差」にとって代わらてしまっているのです。

"こうさてん" で google してみてください。「交叉点」と出てきます。しかし、出てくるサイトの漢字は、もっぱら「交差点」です。
画像

Wiki ですら「交差点」です。

では、"さんさろ" で google すると、こちらは、「三差路」と漢字変換されますが、出てくるサイトは、次のようになっています。
画像

Wiki は、「三叉路」となっています。

ここに出てくるサイトのひとつに説明されていますが、「叉」が「差」に変わったのは、「叉」が当用漢字、常用漢字に採用されなかったからだそうです。
実は、「股」も、当用漢字、常用漢字にないのですが、これは当たり前みたいに使われていますね。

『広辞苑』では、「こうさ」は、「交叉」になっていて、「交叉点」が例として出ています。
「さんさ」も、「三叉」となっていて、「三叉神経」「三叉神経痛」が例として出ています。
"さんさしんけい" で google すると、全部「三叉」です。医学用語としては、「差」を使ったら、どういう「神経」か、と疑われるでしょう。

いろいろ、くどくどしい説明をしましたが、これで(少なくとも私は)納得できました。そして「日本語ものしり」になりました。

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