『英語ものしり帖』「股の巻」<Straddle/astrideの遺伝子>

straddle, astride の遺伝子

「英語ものしり」としては、この二つの「跨ぐ」「跨る」の英語表現のどちらにも、「また」を表す英語、crotch とか thighs または、legs が、全く使われていないことが気になります。
straddle や astride に crotch や thighs or legs の影も形もうかがわれないですね。

そこで、straddle と astride の etymology を調べてみました。
まずは、straddle.
straddle (v.)
1560s, "spread the legs wide," probably an alteration of striddle (mid-15c.), frequentative of striden (see stride (v.)).
Transitive sense "place one leg on one side of and the other on the other side of" is from 1670s.


もともとは、stride から来ている、というので、今度は stride の etymology です。
stride (v.)
Old English stridan (past tense strad, past participle striden), "to straddle, mount" (a horse), from Proto-Germanic *stridanan (source also of Middle Low German strede "stride, strive;" Old Saxon stridian, Danish stride, Swedish strida "to fight," Dutch strijden, Old High German stritan, German etreiten "to fight, contend, struggle," Old Norse striðr "strong, hard, stubborn, severe").
ちょっとややこしい説明がしてあります。「英語ものしり」としては、これが「馬に跨る」から来ている、ということが分かれば、それで納得が行きます。

astride の場合です。これは、副詞です。前置詞としても使われます。
astride (adv.)
"with one leg on each side," 1660s, from a- (1) "on" + stride (n.).
stride (n.)
"a step in walking," especially a long one, from Old English stride "a stride, a step," from the root of stride (v.).

Meaning "a standing with the legs apart, a straddle" is from 1590s.
名詞の stride から来ていて、もともとは、歩くときの step、それも a long one, つまり、大股の一歩のことでした。

日本語でマラソンの走り方に「ストライド走法」というのがあります。Wiki の説明です。
「ストライド走法(ストライドそうほう)とは、長距離走で、ストライドの幅(歩幅)が大きい走法のこと。」
http://bit.ly/2qKnHQ4
これに対して「ピッチ走法」があります。Wiki によると、
「ピッチ走法(ピッチそうほう)とは、長距離走で、比較的狭い歩幅で脚の回転を速くする走法。足の着地時の足首付近にかかる衝撃がストライド走法よりも小さい走法であり、日本では、短身で脚の短い選手にも身体的負担が少なく、ピッチを多く刻むことによりストライド走法よりもスピードが出る走法とされ、この走法が主流になっている。厳格にストライド走法と区別の出来ない選手も多い。」
http://bit.ly/2q8BBt6
この場合、
「ピッチ」とは1歩にかかる時間のことで、「ストライド」とは1歩の長さ(歩幅)を指しています。
要するに、stride が long か short か、ということです。そして、stride が long ならば、pitch も long になり、stride が short なら、pitch も short になるわけですが、
long stride の場合を、「ストライド走法」と呼び、short stride の場合には
「ピッチ走法」と呼んでいるわけです。
こういう呼び方は、英語としては通用しないので、Wiki には、「スライド走法」「ピッチ走法」の英語版はありません。どうやら日本固有の呼び方のようです。
野口みずきさんは、スライド走法で、高橋尚子は、ピッチ走法で、それぞれ Sydney Olympics と Athens Olympics で gold medal をとりましたね。
画像画像

 
「跨ぐ」「跨る」の英語、straddle, sit astride には、「跨」crotch の影も形もありませんが、その背後には、「またがる」の遺伝子があることが、語源を調べると分かります。
Native speakers of English には、その「英語脳」のどこかに、その遺伝子が伝わっていて、straddle, sit aside と話したり、聞いたりする時には、crotch の影がちらつくのでしょうね。Non native speaker of English の私たちも、そういう影がちらつくようになると、ほんものの「英語脳」になるのです。ちょっとむずかしい話でした。

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