オペラよもやま話 その12 演出家と演出 


昨日、GM の G は、General (元帥)の G で、とても偉い人、と紹介しました。
General は、一方、in general とか、副詞になって generally となると、「一般に広く」という意味に使われます。
Ludolf Bing の本を読むまでもなく、GM の仕事は、何でもあり、ですが、何が何でもあり、かは、また、別の機会に紹介するとして、もっとも大事な仕事は、シーズンごとの出し物を決めることです。
先に何度か指摘しましたが、世界各地で、シーズン中のあれほど沢山のオペラが上演されているのを、それを決めているのは、誰か、ということを、問題にしていました。
GM が、決めるのは、演目だけでなく、演目の内、どれを、今までのやり方を変えて上演するか、歌手は誰にするか、どういう順番で上演するか、などなど、シーズン中の上演に関すること全てに責任を持つことになります。

しかし、プロ野球の GM が、試合の指揮は、監督 (manager)に任せるように、オペラ劇場の GM も、上演の実際については、まずは、伴奏するオーケストラの指揮は、指揮者 (Conductor) に任せます。
そうして、野球で言えば、試合に当たる上演の舞台上の指揮は、
(英語では、この場合の指揮には、direct が使われるので)、director と呼ばれる人に任せます。
同じ「指揮」でも、オーケストラ「指揮者」は、conductor, 舞台上で行われることの「指揮」は、director が、行うのです。
MET の Live Viewing のように、最近では、上演演目をビデオ収録することが多くなりました。ビデオ収録については、後ほど詳しく説明しますが、とりあえずは、これを direct する責任者は、video director の呼ばれるのが普通です。そうすると、実際の上演を direct する責任者を stage director と呼んで区別することもあります。

そして、日本語では、conductor は、「指揮者」、director は、「演出家」と呼んで区別します。そして、演出家の行う仕事を、「演出する」と呼びます。当たり前のようですが、この後指摘するように、オペラを理解するには、この意味合いをよく掴んでおく必要があります。
そして、今までと違った「演出」の上演には、日本語では「新演出」と、「演出」をそのまま使いますが、英語では、 new direction* とは、言わず、new production と言います。
ビデオ収録したものは、テレビで放映する場合でも、YouTube の場合も、DVD/BD で販売する場合でも、通常は最後の方に、その作品に関わった人たちの credit が出ます。
その時に、「演出家」の肩書?は、Stage Director がもっとも普通ですが、MET の場合は、production になっています。そしてですね。最後の方に、Producer という肩書で、現GM である、Peter Gelp の名前が出てきます。
つまり、新しい stage direction で上演された作品は、new production で、その責任者は stage director ですが、上演自体、つまり production の責任者 producer は、GM なり、Superintendentなり、要するに「総支配人」になるわけです。

そうなると、次の話は、stage director は、どこまで direct するか、になります。
舞台装置や、衣装まで、direct するのか、歌手の歌唱指導や演技指導もするのか、バレエ場面がある場合、その振り付けもするのか、
この話、一筋縄では行かないですね。舞台装置や衣装まで direct する director もいれば、そちらは人任せにする director もいます。歌手の演技を direct する director もいれば、それは歌手任せ、という director もいます。このことは、過去現在と歴史的な変遷も経ています。
あまり「よもやま」になると、ややこしくなるので、なるべく上手に整理して、次回から、順次説明します。
今日の話で、特に大事なのは、日本語で「演出家」と言うのは、英語では、stage director、日本語で「新演出」というのは、英語では、「演出」に当たる言葉は使われず、new production と呼ばれ、new か、それまでと同じものでも、production の責任者、つまり、producer は、GM なり、あるいは、それに相当する general director である、ということです。平たく言えば、stage director は、GM や general director, superintendent など、オペラ劇場の総支配人に雇われて仕事をする人なのです。それが、最近の風潮で、雇われ人がいばりすぎる風潮があるのです。この後立ち入った話になりますので、今しばらく置いておきます。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント