TED は、「リスニング教材」 なの? 違いますよ!

 私が、このブログで TED を最初に紹介したのは、昨年 (2012年)の 6月初めでした。
次のような entries があります。
(1)TED スーパープレゼンテーションとm-learning
(2)日本語字幕付きTED を見るには。
(3)TEDで、英語リスニングを鍛える。
(4)TED と TED Air の違い。スマートフォンの場合。

驚いたことに、(2)は、1275、(4)は、2076 のアクセスがあります。(2013年10月27日の時点)

 英語教育・学習の教材 (学習材) に、「リスニング教材」 と呼ばれるものがあります。
昔は、cassette, その後、DVD で、英語の音声を listen するのが、定番でした。
私の学生時代は、Linguaphone しかなく、それも SP レコードでした。
 その Linguaphone は、今でも健在で、CD による 「リスニング教材」 を提供しています。

 この類の 「リスニング教材」 がどういうものか、よくわかっている人もいるでしょうし、高いものを買わされてコリゴリした人もいるでしょう。
 「過去の遺物」 の話は、さっさと切り上げます。

 私のブログが、きっかけになったのではないでしょうが (2076のアクセスがありましたからね)、
最近、TED を 「リスニング教材」 として使おうという、英語教育関係者が出て来ました。

 その一人に、広島大学教育学部の柳瀬陽介教授がいます。 もっとも後から指摘するように、単に 「リスニング教材」 としてではないです。
広大教英生がお薦めする英語動画集
というブログで、その様子が報告されています。

 詳しいことは、このブログを読んでいただくとして、学生に TED を視聴させるのは、単に 「リスニング教材」 としてでなく、ブログからのことばを引用すれば、

「教英の学生が、「世界で生じていることに対するみずみずしい感性」と「高度な英語説明力」の両方の獲得を同時に狙う人たちのために、お薦めの英語動画を紹介することを目的としています。 」
であり、
「世界で生じていることに対するみずみずしい感性」とは
自分や身の回りのことなどいう極めて狭い範囲だけでなく、自分を越えた広い世の中の営みに対して、ワクワクするような好奇心を身体で感じることができることを指します。
ということです。

とまあ、こういうことが目的ですが、
学生の方は、それまでの英語学習の習慣で、「リスニング」 の勉強だ、と当初は思っていたフシがあります。
しかし、実際にやってみたら、違う効果というか、今までのような、単なる 「リスニング」 ではないと、気づいたのです。
その辺りの学生たちの感想文が寄せられています。 そのいくつかの、肝心なところを紹介します。 許可は取ってませんが、公開されているものだから、copyleft と考えます。

まず,自分が英語の動画を見て学習をすることについて考えたのは,TEDが 「単なるリスニング教材ではない」 ということです。 今までの概念でリスニング教材というと,"プロのナレーターが吹き込んだCDを使って問題を解いていく"というものでした。しかしながら,実際に自分たちが英語で会話をする相手はプロのナーレターではありません。 リスニング教材のナレーターのように単語をゆっくりはっきりと発音するはずもなく,ごく自然なスピードで,(時に速く,)流れるような英語を話してくるに違いありません。
TEDを見てみると,プレゼンテーションの形式で,自分の興味がある分野を選んで学習することができるという点に感心しました。自分の興味のある分野ならそれほど苦なく学習ができるからです。


「教材」 というのは、「問題を解く」 というのが不可欠のようです。 だから、「教材」 か。

同じことを、言っている人がいます。
また,音声を聞く目的が流通しているリスニング教材のように 「問題を解く」 というものではないのも特徴のひとつだと思います。もちろん,「英語音声を聞いて問題を解く」 という行為も,放送文の内容を理解しているかどうかを知るひとつの手がかりですが,それだと問題に関する部分を聞き取ることに専念してしまい,重要な"話の全体像を理解する"ということができなくなってしままします。
 

もう一つあります。
その反面,TEDは 「音声を聞き取って話の趣旨をつかむ」 ということに重点を置いているように思えるので,問題を解くというプレッシャーに押されることなく,落ち着いて学習することができます。

赤文字の部分ですが、こういう考え方をすること自体、まだ、TED を 「教材」 と捉えている、と思いますが、What do you think?
TEDの話し手は、「私の音声を聞き取って話の趣旨をつかんでください」 などということは、思ってもいないでしょう。
あなたが、日本語で、スピーチする場合、そんなこと思いますか。

また,話し手はプロのナレーターではなく,普通の英語話者であることにも魅力を感じています。 これでネイティブの話す 「自然な英語」 を聞き取る力がつきます。
「プロのナレーター」 は、結構多くいます。 また、native speaker of English でない人も結構多くいます。
だから、どうか、というのではないですが、なんとなく、「ネイティブ信仰」 の雰囲気。

今までの 「リスニング」 学習の誤りに、気づいた人も多いですね。 本人の責任でなく、英語の先生の責任です。 罪は重い。

この動画を見て、今まで自分が触れてきた英語がどれだけ 「作られた」 ものであったか、というのを実感しました。私は TOEIC 対策として、またはそれに限らず自分の苦手なリスニングの能力の向上のために、教材を買って付属のCDを聴いており、それを続ければリスニング力は上がるかなと勝手に思い込んでいました。

最後に、ベスト・アンサー? 赤文字のところが、特に。
ちゃんとTEDを見たのは今回が初めてだったのですが、登場人物の表情や考えを直接受け取ることができ、興味をもって視聴することができました。また、話し手が聞き手に向けて一生懸命話しかけてくるので、心に響くものがたくさんありました。 TEDを見ていると、自然と生きた英語が自分のなかに入ってきました。 私はリスニングをするとき、一生懸命集中して聴かないとなかなか聴き取れないのですが、不思議とTEDの中で出てきた英語は、すんなり自分の中に入ってきました。 それは、話し手が聞き手に向けて一生懸命英語を伝えようとしているから、自分の心の中に英語が届けられるのだと思いました。

考えてみれば、私たちが授業の中で聴いていた英語というのは、会話であったり教科書の英文の音読であったりと、誰かに向けて発するメッセージのようなものは少なかったように思います。 ですからリスニングの時は、聴きとりたいというより聴かなければならないという感覚の方が強かったです。 TEDで生きた英語を聴いたとき、感動したし、今までになく英語が心にもすんなり入ってきて、すごく新鮮でした。また、教科書や単語帳では学べないような自然な表現も学ぶことができ、私たちにとって大変いい教材だと思います。 機械的に単語を覚えるのではなく、この人が喋っているこの単語はなんていう意味なのか、自分から興味をもって知りたくなりました。 本で勉強しているだけでは、補えない英語力もたくさんあると思います。 これからはTEDをうまく活用して、生きた英語を学びたいと思いました。

 実は、私に言わせれば、この最後の 「生きた英語が学びたい」 が問題なのです。 何が問題か、明日に。
このサイトには、まだまだたくさん学生たちのコメントがあります。 一読すると、学生出ない人も、参考になりますよ。

今日は、紹介にとどめて、明日また、私の思うところを述べます。

"TED は、「リスニング教材」 なの? 違いますよ!" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント