オペラよもやま話 その20 オペラ映画の収録方法。

 現在、オペラを映像(画像)で見ようとすれば、DVD・BD、更には YouTube で見ることができます。それには、大別2種類のものがあります。
ひとつは、先回紹介したオペラ映画のもの、もう一つは、MET の Live Viewing のように実際の上演舞台をヴィデオ収録したものです。
気づいている人は気づいているでしょうが、この2つには、収録方法に大きな違いがあります。
「映画」というと、それに当たる英語は、もっぱら movie と思っているいる人が多いでしょう。学校英語では、そうなっています。
しかし、実際の英語では、film を使うことのほうが多いです。なぜ、film かと言えば、映画は film で撮影するからです。一方 TV の撮影は video
です。もっとも TV 放送では、映画を video 化して放送することもあります。
Film と Video では、収録方法に大きな違いがあります。
Film は、基本的には、映像しか記録できません。一方、video は、画像と音声が同時収録できます。もっとも、最近は、映像と音声と同時収録できる Film もありますが、それでも、あえてその方法を取らない映画監督のほうが多いです。この話、技術的に込み入って来ますので、これ以上立ち入らないことにして、ここでは、Opera film は、映像と音声と別々の収録、上演舞台の video 収録は、画像と音声の同時収録、ということにしておきます。
なお、ここで、film では「映像」、video では「画像」と区別しているのは、収録方法の技術が、違うからです。このことも、これ以上立ち入りません。話がややこしくなりますから。

テレビで昔の映画を放送することがあります。佐分利信とか、有馬稲子などの時代の映画です。それらの映画を視聴していると、現在のテレビドラマと比べて、セリフがなんとなく不自然に聞こえます。そう思うことありませんか。
あの頃の映画は、film 撮影ですから、映像と音声の同時収録が出来ないので、まずは映像を film で撮り、それを現像して編集したものを見ながら、俳優が台本を見ながら言うセリフを録音し、それを film の sound track に光学的に焼き付けしていたのです。つまり、言うところの「アフレコ」をしていたわけです。
では、オペラ映画は、どうか、というと、こちらは、前もって音声、つまり、歌と演奏を録音しておいて、その録音を聴きながら、口の動きをなぞりながら、演技をする、という、つまり言うところの「口パク」をするのです。業界用語では、「プレスコ」と言いますが、英語で はprerecording です。
オペラ映画に限らず、映画撮影の場合は、通常はカメラは一台で、映画の credit では、「撮影 誰々」と撮影者の名前が、通常は一人出ています。
英語の場合は、cinematography という title で、撮影を担当した cameraman の名前が出ています。更に「編集」という title もあります。
これが、オペラの舞台の収録の場合は、作品の最後の方に出てくる credits を見ていれば分かりますが、camera という title のところに、数人のcameramen の名前が出てきます。そして、映画にはない、Video Director という credit があります。
つまり、舞台上演の収録の場合は、数台の video cameras を、cameras の数だけの cameramen で撮影しているわけです。
Baseball などの sports の撮影の場合も、数台の cameras を使いますが、sports の場合は、例えば baseball の場合 ball がどこへ飛んで行くか分からないので、どの場面を写すかは、cameramen に任されますが、舞台中継の場合は、予め進行が分かっているので、どの場面をどの camera で写すか、どこを close up するかなどは、予め決めた一種の台本があって、cameramen は、それに従って撮影します。
そうして、その台本を作成し、同時に撮影された場面から、どれを選ぶかが、video director の仕事のわけです。この仕事について詳しくはまたこの後説明します。
となると、次の話は、誰がオペラ映画の「監督」をするのか、つまり、film director は、どういう人がなるのか、ということになります。
そのことは、先回紹介した過去の26の代表的オペラ映画の「監督」を調べればわかります。
その結果は?次回に紹介します。


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